バートランド・ラッセル 私の哲学の発展(松下彰良 訳)
* 原著:My Philosophical Development, by Bertrand Russelll (London; George Allen & Unwin, 1959)総目次
第14章 普遍、個別、固有名 イントロ索引
- 普遍(者)と個別(者)に関する諸問題及びそれと密接に関係する固有名の諸問題は、一元論の論理(一元論の立場の論理学)を放棄して以来、ずっと私の思索のなかで非常に大きな部分を占めてきた。
- かつて(昔々),様々な学派の哲学者達の一行がヨーロッパ大陸の辺鄙な地方を旅行していました。・・・。
- 私自身のことを言えば (For my part)、(この問題については)2つの方向に導かれた。・・・。
- 私の論理記号法に関係している形而上的な信念を述べようとする最初の試みは、『数学の諸原理』(The Principles of Mathematics)の第四章に「固有名、形容詞及び動詞」という見出しのもとに、記載されている。
- 当時の私の見解は、昼の仕事(労働)と暑さとによって失われる一種の朝の無邪気さ(morning innocence)を備えていた。・・・。
- この(上記の)一節の中には、誤まりだと後に考えるにいたった多くのことが存在している(含まれている)。
- (もうひとつの)別の種類の難点があり、それは、実体(substance)という概念に対する定評のある反論(objections 異論)と関連している。
- 個物(個別者)に関する上記の困難を扱う私の最初の試みは、1911年に、アリストテレス協会(訳注:英国最大の哲学会)で読みあげた論文 「普遍(者)と個物(個別者)との関係について」であった。・・・。
- 「我々が知覚空間から導き出した数的異他性(numerical diversity)についての議論は、異なる精神(心)の内容についての同様な議論によって強化(補強)されるかも知れない。・・・」(
- 私、後に、これらの議論を妥当ではないと思うようになった。・・・。
- 「点=瞬間」 (point-instant) の構成(構築)の問題は、その後まもなく、ホワイトヘッドによってとりあげられ、私の著書『外界に関する我々の知識』で展開されたが、それは既に1911年に、私がとても気になっていた問題であった。
- けれども、さらにもうひとつの困難(問題)があり、1911年においては、私は克服できないものだと考えていた。
- さて(come now to)、普遍(者)と個別(者)という問題に密接に関連するもうひとつの問題、即ち、固有名についての問題に移ろう。・・・。
- ひとつの重要な点において、私は彼ら(ウィトゲンシュタインの追従者)の批評が正しいことを認める用意がある。・・・。
- 従来(伝統的には)、二種類の名(名前)があった。・・・。
- 上記の考察は、固有名の構文論的定義を示唆している(それとなく示している/勧めている)。 ・・・。
- 私は日常言語において、また文法において、「ソクラテス」を名として認めることを拒否すべきだと言おうとしているのではない。・・・。
- 我々がもしこの見解を採用するなら、その場合、我々は、日常言語が上記の意味での固有名であるような何らかの語を含んでいるかどうかを決定するという問題に直面する(ことになる)。・・・。
- 繰り返して言うが、私は、こういう奇妙な言い方がよいとして(in favour of 賛成して)、普通の言語(日常言語)の廃棄を示唆しているのではない。・・・。
- 「性質」についての上記の理論を受けいれるならば、普遍(者)の地位の問題はいくらか新しい形を取得する(acquire)。・・・。
- 普遍(者)と個別(者)に関する理論(学説)を立てる際に、これまで実質的に(practically)ほぼ全てといってよいほど見逃されてきた点がひとつある。・・・。
- 事実を主張する文から、その文の主張する事実に移る時(に)、我々は、いったい文のいかなる特質が -もしそのような特質がある場合- 主張された事実に属さなければならないか(について)自問してみなければならない。・・・。
- この問題の全体を、私は『意味と真理の研究』の最後の章で論じている。・・・。
第15章