クリーンな核兵器でロシア人の生命を救う? no fall-out?

【 バートランド・ラッセル(Bertrand Russell)の言葉 r366-c211】

<一般市民からの手紙>
 あなたの耳にまだ届いていないでしょうか? つまり,最も新しい核爆弾においては’放射能塵’の落下がまったくなく,(放射能塵))危険が拡散することもないという「極秘事項」から広がった馬鹿げた宣伝ですが・・・。

(ラッセルからの返事:1961年9月8日付)
 拝復 ミセス・バーソロミュー様
・・・。私は,最新式の核爆弾からは放射能塵がまったく発生しないと偽って主張している声明を全部聞いて知っています。このような声明は全て故意の嘘です。私は以前,この点について,米国政府の核に関する権威筋の主要人物の一人と放送討論を行いましたが,彼は,自分は’きれいな’核兵器(原水爆兵器)の製造法を発見した,またこの目的のための自分の研究は人道主義的動機からなされてきたものであると誇らしげに言いました。私は言いました。「それなら,あなたはそのことをロシア人たちに伝えたでしょうね。」 彼は不快な表情を浮かべこう答えました。「いいえ,そんなことは不法(違法)なことです!」。
 そうだとすると,彼が生命を助けてやりたいと思ったのは(敵国)ロシア人の生命だけであって,アメリカ人の生命ではなかった,と結論づけてよいのでしょうか?(注:言うまでもなく,アメリカの「きれいな」核兵器でロシア人の生命をすくい,ロシアの「きたない」核兵器でアメリカ人の生命を奪うことになるという皮肉)」
 敬 具
 バートランド・ラッセル

8 September 1961
Dear Mrs. Bartholomew,

… I have heard all the statements pretending that from the newest nuclear bomb there is no fall-out. All these statements are deliberate lies. I had a broadcast discussion on this point with . . . one of the chief governmental nuclear authorities in the U.S., who boasted that he had discovered how to make ‘clean’ bombs and that his research towards this end had been dictated by humanitarian motives. I said, “Then I suppose you have told the Russians about it?” He replied with horror, “No, that would be illegal!” Was I to conclude that it was
only Russian lives that he wished to spare, not American?
Yours sincerely,
Bertrand Russell
 出典: Dear Bertrand Russell; a selection of his correspondence with the general public, 1950 – 1968</em>. Allen & Unwin, 1969.
 詳細情報: http://russell-j.com/beginner/DBR2-04.HTM#r366-c211