【 バートランド・ラッセル(Bertrand Russell)の言葉 r366-c241】
アインシュタインのような人物が戦争に関する自明な真理を世間に向かって言っているのに世間は耳をかさない。アインシュタインの言うことが難しくて理解できないかぎりは,彼は賢明な人物だと考えられるが,彼がすべての人が理解できることを述べると彼の知恵はもう底をついたと考えられる。この種の愚行において,各国政府は指導的役割を果たす。政治家は政権にしがみついていたいために,自国を破滅に導いても構わないと考えるらしい。これ以上の邪悪さは容易に想像できない。
Men like Einstein proclaim obvious truths about war but are not listened to. So long as Einstein is unintelligible, he is thought wise, but as soon as he says anything that people can understand, it is thought that his wisdom has departed from him. In this folly, governments take a leading part. It seems that politicians would rather
lead their countries to destruction than not be in the government. A greater depth of wickedness than this it is not easy to imagine.
出典: Do governments desire war? (written in Aug. 24, 1931 and pub. in Mortals and Others, v.1, 1975.]
詳細情報: http://russell-j.com/DESIRE-W.HTM#r366-c241
[寸言]
このエッセイの書かれた1931年におけるラッセルの予想(来るべき世界大戦は,多分,文明の消滅をもたらすだろう。)は,幸いなことに(復興をとげ)的中しなかった。戦争抑止策を(積極的に)とろうとしない諸政府。反戦活動をする人間は(資本主義国にあっては)「共産主義者(赤)」であり,(社会主義国にあっては)「反革命分子」であると決めつける。
平和のために努力するよりも,権力をにぎり続けることを優先する政治家達。