ラッセル『宗教と科学』(松下彰良・訳)

Religion and Science, by Bertrand Russell (London; George Allen & Unwin, 1935)



総目次

9章 科学と倫理 イントロ累積版
  1. 直前の二つの章で見たように,科学は不充分であることを主張する人々は,科学は「価値」については述べるべき何をも持たない(価値については何も主張できない)という事実に訴える。

  2. 外部の行動規範(行為の規則)の必要性に訴えることが回避されてきた方法の一つは「良心」(の存在)に対する確信であった

  3. 哲学者たちは,異なった道をたどって,異なった立場 -その立場においては,同様に(also また,同様に)道徳律は従属的地位にある- に達した。

  4. 種々の哲学者が種々の善の概念を(これまで)形成してきた。

  5. 「価値」について(いろいろな)問題「問い)は -即ち,その(及ぼす)影響とは独立に,それ自身で善あるいは悪であるものについての問題は- 宗教を弁護/擁護する人々が力強く主張するように,科学の領域の外にある。

  6. 倫理(と)は,我々(人間)の欲求のなかのある一定の欲求に対して,普遍的であって単に個人的なものではない重要性を与えようとする試みである。

  7. 説教者の観点と方法は,(立法家とは)必然的にいくらか異なったものである。

  8. ある人が「これはそれ自体で善である(善い)」という時,彼(その人)には「これは正方形(square 四角)である」とか「これは甘い」とかいうのとまったく同じ程度の陳述(発言)をしているように思われる(かもしれない)。

  9. (これまで)私が主張してきた理論(説)は,価値の「主観性」と呼ばれる学説(注:価値情緒説)の一形態である。

  10. この説(価値「主観性」説/価値情緒説)の帰結(consequences 結論/結果)は重大である。

  11. 客観的」価値(の存在)を信ずる人々は、しばしば、私がこれまで擁護してきた見解は不道徳な結果を持つ(もたらす)と主張する。

  12. 我々は,人類について熟考する時,人類が幸福であることを,(人類が)健康であることを,(人類が)知的であることを,あるいは(人類が)好戦的であること(等々)を望むかも知れない。

  13. 全体的な(一般的な/普遍的な)欲求,例えば人類(全体)の幸福に対する欲求は,もし絶対的善の是認がなければ(絶対的な善が存在することを認めていないのであれば)ある意味でで不合理(非理性的)である,と考える人もいる。
第10章 結論