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バートランド・ラッセル 教育論 第二部_性格の教育_第8章_正直(誠実)であること(松下彰良 訳) - Bertrand Russell On Education, 1926

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テーブルのお馬鹿さん?


あるいは
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 もう一つ別の望ましくない形のごまかし(誤魔化し)は,無生物(生命のないもの)をあたかも生きているかのように扱うことである。子供が椅子やテーブルにぶつかって怪我をしたような場合,保母(nurses)はときどき,子供に,その腹ただしいものをぴしゃりとたたき,「椅子のおバカさん」とか「テーブルのおバカさん」とか言うように教えることがある。これでは,せっかくの最も有益な自然なしつけの源(機会)をとりのぞいてしまう(ことになる)。(子供にかまわずに)子供をそのままにしておけば,生命のないものは技術によって操作するほかないもので,怒ったりおだてたりしてもどうしようもないと,すぐに理解する。これは,技術を身につけるための刺激となり,個人の力の限界を自覚する上で助けとなる。
 性に関する嘘は,旧くからの慣行により是認されている。この種の嘘はことごとく,まったくよくない,と私は信じている。しかし,性教育については一章をあてる予定なので,いまはこの問題についてはこれ以上触れないでおこう。

Pt.2 Education of Character - Chap. 8 Truthfulness

Another undesirable form of humbug is to treat inanimate objects as if they were alive. Nurses sometimes teach children, when they have hurt themselves by bumping into a chair or table, to smack the offending object and say, "naughty chair ", or' " naughty table ". This removes a most useful source of natural discipline. Left to himself, the child soon realizes that inanimate objects can only be manipulated by skill, not by anger or cajolery. This is a stimulus to the acquisition of skill, and a help in realizing the limits of personal power. Lies about sex are sanctioned by time-honoured usage. I believe them to be wholly and utterly bad, but I shall say no more on this subject now, as I propose to devote a chapter to sex-education.

(掲載日:2015.04.19/更新日: )