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『ラッセル教育論』(B. Russell On Education/松下彰良・訳)

次ページ(Forward) 前ページ(Back) Chap. 2(第2章) Index Contents(目次)

* イエズス会とは?
* 「フィリップ・レクリヴァン著『イエズス会』について」(松岡正剛の千夜千冊n.222)
* 上智の精神:イエズス会と上智大学の設立
* 日本の主なカトリック系大学:上智大学,聖心女子大学,清泉女子大学,白百合女子大学,南山大学,京都ノートルダム女子大学,その他
* 日本の主なプロテスタント系大学:津田塾大学,東京女子大学,青山学院大学,立教大学,国際基督教大学,関東学院大学,フェリス女学院大学,明治学院大学,金城学院大学,同志社大学,関西学院大学,西南学院大学,その他

第一部 教育の理想
 第2章 教育の目的(承前:OE02-060)


 'イエズス会士たち'は,近代の日本人同様,教育を'制度'--彼らの場合は,'カトリック教会'--の繁栄(利益)に従属させる(の下位に置く)という誤りを犯した。彼らの第一の関心は,個々の'生徒'の幸福(利益)ではなく,'生徒'をカトリック教会の利益のための手段とすることにあった。もしイエズス会士の神学を受け入れるならば,彼らを非難することはできない。(即ち)魂を地獄から救うことは,単に地上的ないかなる関心事よりも重要であり,それを達成できるのは,カトリック教会しかないと信じるならば,彼らを非難することはできない。しかし,この教義を受け入れない人びとは,イエズス会による教育をその結果(成果)によって判断するだろう。確かに,この結果は,時に,ユライア・ヒープのように,まったく望まれないものもあった。(また,たとえぱ)ヴォルテール(Voltaire, 1694-1778:反ローマ・カトリック,反権力の,啓蒙主義を代表するフランスの哲学者)は,イエズス会の教育方法の結果の1つであった。しかし,概して,また長期にわたって,彼らが意図した成果は達成された。たとえば,反宗教改革,フランスにおける新教(プロテスタンティズム)の衰退は,大部分,イエズス会土たちの努力に帰さなければならない。これらの目的を達成するため,彼らは'芸術'を感傷的なものに,'思想'を皮相なものに,'倫理道徳'をしまりのないものにしてしまった。ついには,彼らがもたらした害悪を一掃するために'フランス革命'が必要とされた。教育における彼らの'罪'は,彼らは'生徒に対する愛'によってではなく,'それ以外の隠された目的'によって駆り立てられた(動かされた)ということである。

Chap. 2 The Aims of Education (OE02-060)

The Jesuits, like the modern Japanese, made the mistake of subordinating education to the welfare of an institution - in their case, the Catholic Church. They were not concerned primarily with the good of the particular pupil, but with making him a means to the good of the Church. If we accept their theology, we cannot blame them: to save souls from hell is more important than any merely terrestrial concern, and is only achieved by the Catholic Church. But those who do not accept this dogma will judge Jesuit education by its results. These results, it is true, were sometimes quite as undesired as Uriah Heep: Voltaire was a product of Jesuit methods. But on the whole, and for a long time, the intended results were achieved: the counter-reformation, and the collapse of Protestantism in France, must be largely attributed to Jesuit efforts. To achieve these ends, they made art sentimental, thought superficial, and morals loose; in the end, The French Revolution was needed to sweep away the harm that they had done. In education, their crime was that they were not actuated by love of their pupils, but by ulterior ends.


(出典:B. Russell's The Good Citizen's Alphabet, 1953)

(掲載日:2006.11.26 更新日:)