バートランド・ラッセル『結婚論』第16章「離婚」（松下彰良・対訳） - Marriage and Morals, by Bertrand Russell
総目次
第16章 離婚 イントロ累積版
- 制度としての離婚は，大部分の時代と国において，一定の理由で許されてきた。
- 離婚について最も奇妙なことの一つは，法律と慣習の間にしばしば存在した相違（食い違い）である。
- 一般的に，新教徒（プロテスタント）もカトリック教徒も，離婚を家族の生物学的な目的の観点から見ないで，神学的な罪の観念の観点から見てきた。
- この問題に関する新教徒とカトリック教徒の見解は，どちらも合理的根拠からは支持できるものではない。
- 第二の選択肢，即ち，子供を作らずに人目を忍ぶ関係を持つことは，いま考察しているような状況においては，実際に最も普通に行われているものである。
- 第三の選択肢，即ち，「公然の不倫」（open sin）の生活をするという選択肢は，それが実行可能な場合には，個人にとっても，社会にとっても最も害の少ないものである。
- その結果，英国でそうであるように，精神異常が理由の離婚を許さない国ではどこでも，配偶者が精神異常になった夫や妻は，耐えがたい境遇に置かれることになる。
- 遺棄（desertion 配偶者の一方あるいは子供を見捨てること）は，本当のものであれば，もちろん，離婚の根拠（理由）となるはずである。
- 私の考えでは，姦通(不義密通)それ自体は離婚の根拠とするべきではない。
- 私がこう言うとき，もちろん，姦通(不義密通)による性交は，子供を生むことにいたるものではないと想定している。
- 離婚が望ましいとされる根拠は二種類ある。
- 離婚に関する法律の立案には，きわめて大きな困難が存在している。
- 離婚の法律については，ここまでとしよう。
- 結婚を子供と関係づけて考えるとき，まったく異なった倫理が（関係するものとして）参加してくる（働きはじめる）。
- （本章の）結論は，次のようになると思われる。