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バートランド・ラッセル 自伝 第3巻第3章 - 初めてウーバーン・アビー訪問(松下 訳) - The Autobiography of Bertrand Russell, v.3

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第3巻第3章 トラファルガー広場

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 私が九十歳代の人間になることに関連して行なわれたこのような楽しいお祭り騒ぎが全て終わると,私たち夫婦はウェールズに引っ込んだ。(この年)ロンドンに戻ったのは,国際的な核や軍縮に関する政策についてウ・タント国連事務総長と語り合うための,7月の2,3日間のみであった。[右下写真(ラッセルとウ・タント事務総長)出典:The Life of Bertrand Russell in Pictures and in His Own Words, c1972]私が彼と会ったのはこれが最初だった。そうして,彼が精力的であることや問題を明確に把握することだけではなく,バランスのよくとれた客観性と思慮深さ及び彼の非常に愉快かつ上品なユーモアによって,大いに印象づけられた。
 その時(ロンドンに出たついでに)私は,初めてウーバーン・アビー(注:ラッセル家本家のベッドフォード公爵の邸宅)も訪ずれた。ウーバーン・アビー(邸)の壮大さはとても気持がよかったし,ダビッド神父の鹿(注:Father David's deer:ダビッド神父が初めて見つけた新種の鹿)の隠れ家となっている巨木の数々や広く静かにひろがっている緑の芝土(turf)のある附属公園の素晴らしい静穏さは,とても人の心を穏やかにさせるものであった。
Woburn Abbey
出典:ウィキメディア・コモンズ(著作権フリー画像)

v.3,chap.3: Trafalgar Square

When all this pleasant fuss to do with my becoming a nonagenarian had passed, we retired to Wales, returning to London only for a few days in July for the purpose of talking with U Thant about international nuclear and disarmament policies. This was the first time that I had met him and I was greatly impressed not only by his energy and clear grasp of affairs, but by his balanced objectivity and thoughtfulness and his delightful good humour. At this time, too, I paid my first visit to Woburn Abbey. I found the grandeurs of the house very pleasing and the lovely serenity of the Park, with its great trees sheltering Father David's deer and its wide quiet stretches of green turf, very calming.

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(掲載日:2010.4.14 掲載)