もちろん,本当のところは,精神も物質も(物も心も)ともに幻想である。物質を研究する物理学者は,この事実(物質は幻想であること)を物質について発見し,精神を研究する心理学者(注:お粗末にも,中村訳では「生理学者」と訳されている!)は,この事実(精神は幻想であること)を精神において発見している。しかし,(物理学者も心理学者も)どちらの研究者も,他の研究主題(注:物理学者にとっては精神,心理学者にとっては物質)については,いくらか確固たるものがあるに違いないと確信し続けている。
The truth is, of course, that mind and matter are, alike, illusions. Physicists, who study matter, discover this fact about matter, psychologists, who study mind, discover this fact about mind. But each remains convinced that the other's subject of study must have some solidity. What I wish to do in this essay is to restate the relations of mind and brain in terms not implying the existence of either.
出典: Bertrand Russell : Mind and Matter (1950?)
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/19501110_Mind-Matter010.HTM
<寸言>
精神も物質も実体のない幻想であろうが、もちろん、個人の人間は、自分が生きている間はそのように思うことはできない。