バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )
  
 彼(コンラッド)は,ある種の強い政治的感覚を持っていたけれども,政治体制(国家体制など)にはあまり興味を持っていなかった。政治的感覚の中で最も強かったものは,英国への愛とロシアへの憎悪であり,その両方とも,『(小説)秘密諜報員(The Secret Agent)』の中に表現されている。ロシアへの憎悪は,ロシア皇帝支持者)及び革命派のどちらに対してもあったが,『(小説)西欧(人)の視野のもとで(Under Western Eyes)』に力強く表われている。彼のロシア嫌いはポーランドに伝統的なものであった。それは非常に徹底していて,トルストイやドストエフスキーも認めないhほどであった。ツルゲネーフは,彼の賛美する唯一のロシア人作家だ,とかつて私に語っていた。

He was not much interested in political systems, though he had some strong political feelings. The strongest of these were love of England and hatred of Russia, of which both are expressed in The Secret Agent: and the hatred of Russia, both Czarist and revolutionary, is set forth with great power in Under Western Eyes. His dislike of Russia was that which was traditional in Poland. It went so far that he would not allow merit to either Tolstoy or Dostoievsky. Turgeniev, he told me once, was the only Russian novelist he admired.
 出典: Bertrand Russell: Joseph Conrad, 1953.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/1040_CONRAD-030.HTM

 <寸言>
 歴史上、常にロシアにいじめられた小国ポーランド。コンラッドはポーランドに生まれ育ったので、どうしてもロシアに対する憎しみを捨てることができない。これに対し、戦争と平和で平和の大切さを描いたトルストイ(大国ロシアの国民)も、ポーランド人の気持ちがわかっているとは言えないであろう。