バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )
  
 彼(コンラッド)は人間が陥りやすい様々な狂気をはっきりと意識していた。これこそ,彼に規律(注:discipline ここでは外部からの規律ではなく,むしろ,自己規律)の重要性への深い信念を与えたものであった。彼の物の見方は,ルソーの考え方(注:人間は生まれながらにして自由)のアンチテーゼ(正反対)であると言ってよいだろう。即ち,「人間は鎖にしばられた状態で生れるが自由になることができる」。人間は彼の衝動を(ただ)放任することによってではなく,(また)因果律に従いかつ制御なしによってではなく,気ままな衝動を(自分が)最も大事だと思う目的に従わせることによって人間は自由になるのだとコンラッドは言ったのだろう,と私は信ずる。

He was very conscious of the various forms of passionate madness to which men are prone, and it was this that gave him such a profound belief in the importance of discipline. His point of view, one might perhaps say, was the antithesis of Rousseau's: "Man is born in chains, but he can become free." He becomes free, so I believe Conrad would have said, not by letting loose his impulses, not by being casual and uncontrolled, but by subduing wayward impulse to a dominant purpose.
 出典: Bertrand Russell: Joseph Conrad, 1953.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/1040_CONRAD-020.HTM

 <寸言>
 人間は神ではないので、自然の制約を受ける。しかし、生きている間、知識や知恵、それと他の人間との協力によってより多くの自由を享受できる。