(従って)もし諸悪の根源と言われている拝金主義を減らしたいと思うならば、第一歩として、誰もが十分に持ち、しかも持ちすぎる者がいない制度(体制)を創り出さなければならない。
If, therefore, we wish to diminish the love of money which, we are told, is the root of all evil, the first step must be the creation of a system in which everyone has enough and no one has too much.
出典:ラッセル『アメリカン・エッセイ集』の中の「希望と恐怖」
詳細情報:http://russell-j.com/HOPEFEAR.HTM
<寸言>
競争主義に毒された現代(特に米国社会、続いて日本)。
競争を過大評価する社会における合言葉は、「誰にもチャンスがある社会、何度でも挑戦できる社会」。実際は、平等のチャンスなどは存在していない。たまたま、才能があり、大変な努力の末に成功した者をとりあげ、誰にもチャンスがあるかのような幻想をまきちらす。
個人の社会的地位や経済状態は不安定であり、変動がはげしい現代、変動するものは希望と恐怖の源泉となり、拝金主義(金銭崇拝)の生まれる土壌ともなる。「諸悪の根源」と言われる拝金主義をなくしたいのであるならば、その第一歩として、誰もが十分に持ち、持ちすぎた人間がいない社会組織をつくり出さなけれならない」というラッセルの主張。