バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 (私が載ったタクシーの)運転手は、私の講演を以前聴いたことがあるがそれは自分が知的であった過去のことだと言い、「今じゃ結婚して、ただの人間になってしまいましたよ('主体的な人間'であることをやめてしまいましたよ)」と付け加えた。 この話は'結婚生活'の一つの痛ましい結果のように思えたので、私は色々考えさせられた。人格の完成であるべき結婚が、どうしてまったく正反対のものとして感じられるのか。自分の結婚が不幸なものであることを示すものがない。そこでこの運転手は、結婚そのものがこの悲惨な結果をもらしたと考える。私自身そのような結婚の結果を経験したことがないが、このタクシー運転手は、多くの人たちの結婚についての考え方を代弁していることを私は理解している。
He (The taxi driver) then went on to say that in former days he had heard me lecture, but that belonged to his intellectual past. 'Now,' he continued, 'I am a married man and have ceased to be a person.' This seemed a painful result of matrimony and naturally set me reflecting. Why should marriage, which ought to be the fulfilment of personality, be felt as quite the opposite? There was no suggestion that his marriage was unhappy; it was to marriage as such that he attributed this dire result. I never myself experienced any such result of being married, but I know that the taxi driver was putting into words what a great many people feel.
 出典:Mortals and Others; Bertrand Russell's American Essays, 1931-1935, v.1
 詳細情報:http://russell-j.com/MARRIAGE.HTM

 <寸言>
 どうして,結婚すると女性だけでなく,男性も勉強(研究)するのをやめてしまうんでしょうか? 子供の世話で大変,仕事が忙しい,会社のつきあいがあるから,などなど,おろそかにできないものがありますが,工夫次第で自分の時間をつくれないわけではないだろうと思われます。惰性で毎日野球やサッカーをテレビでもみたりしないで,メリハリをつけて、読書したり,テーマを決めて考えたりする時間をつくったほうがよいと思われます。そうすれば、「想定外」などということも言うことも少しは減るはずです。