私がこれまでに知った者のうちで,ボブ・トレヴェリアン(Robert Trevelyan)は,一番'本好きな'人間(読書家)であったと思う。彼にとって,本に書いてあるものは非常に興味深いものであるが,実際生活にすぎないものはとるにたらないものであった。トレヴェリアン家の家族全員そうであったが,彼は,評判の良い歴史書の中に書かれているものであれば,世界のあらゆる大戦争における戦略や戦術について,詳細な知識をもっていた。しかし,'マルヌの戦い'(注:フランス北東部のマルヌ河畔で行われた戦闘)の危機があった時,私は彼の家に滞在(宿泊)していたが,日曜日だったので,わずか一部の新聞を手に入れるために2マイルも歩かなければならなかった。彼はこのマルヌの戦いを,戦う価値があるほど興味深いものであるとは考えなかった。なぜならば,単に新聞で読む戦闘というものは,彼にとっては,低俗なものであったのである。(注:マルヌの戦いも,評判の良い歴史書に書かれるようになれば,興味深いものになるだろう,という皮肉?) 私はかつて,多くの人々に対し,その人が悲観論者であるかどうか明らかにするための試験問題を考案した。その質問とは,「もしあなたが,世界を破滅させるだけの権力を持っているとしたら,あなたはそうしますか?」 私はこの問題を,彼の妻子のいる前で彼に提出してみた。その時の彼の答えはこうであった。「えっ!? 私の書斎を破壊するって? 絶対に否!」 彼はつねに新しい詩人を発見しては,その詩人の詩を声を張りあげて朗読したが,いつも哀願するような様子で,「これは彼の最良の詩ではありません。」と言った。ある日,彼がある新しい詩人のことを私に語り,そうしてその詩人の作品の一部を朗読してきかせようと言った時,私はこう言った。「はい。でも,最良でない詩は朗読しないでください。」 この一言で,彼は完全にまごついてしまい,そうしてその本を片付けた。 ラッセルが晩年を過ごしたプラスペンリン山荘の書斎
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* From Free animation library https://www.animationlibrary.com/a-l/ Bob Trevelyan was, I think, the most bookish person that I have ever known. What is in books appeared to him interesting, whereas what is only real life was negligible. Like all the family, he had a minute knowledge of the strategy and tactics concerned in all the great battles of the world, so far as these appear in reputable books of history. But I was staying with him during the crisis of the battle of the Marne, and as it was Sunday we could only get a newspaper by walking two miles. He did not think the battle sufficiently interesting to be worth it, because battles in mere newspapers are vulgar.
He was always discovering new poets and reading their poems out aloud, but he always began deprecatingly: 'This is not one of his best poems.' Once when he mentioned a new poet to me, and said he would like to read me some of his things, I said: 'Yes, but don't read me a poem which is not one of his best.' This stumped him completely, and he put the volume away. |