バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 もはや天国や地獄の存在を信じていなかったベンサムは、この世で良い制度があれば同様の効果をもたらすと考えた。犯罪者は彼のパノプティコンに収容されるべきで、パノプティコンは中心から放射状に広がり、巧妙に設計された鏡のシステムを持っていたため、監獄長は巣の中心にいる蜘蛛のように、犯罪者たちが何をしているかを同時に見ることができた。このシステムでは、監獄長が神の目に取って代わった。犯罪者が正しいことを行うと報酬が与えられ、間違ったことを行うと罰せられた。その結果、彼らは皆正しいことを行うだろう、と彼は主張した。残念ながら、たとえ彼が最も楽観的な時に期待したように、彼のパノプティコンが全面的な支持を得られても、依然として刑務所にいない人々が存在し、そのためには他の手配が必要だったであろう。

Criminals were to be incarcerated in his panopticon, which radiated from a centre and had a skilfully devised system of mirrors so that the head gaoler, like a spider in the middle of his web, could view simultaneously all that the criminals were doing. The head gaoler in this system replaced the Eye of God. When criminals did right, they were rewarded; when they did wrong, they were punished. Consequently - so Bentham maintained - they would all do right. Unfortunately, even if he had obtained all the support for his panopticon that in his most optimistic moments he hoped for, there would still have been people not in prison, and for them other arrangements would have been necessary.
 出典: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 13: Ethical Sanctions, n.4
 詳細情報.: https://russell-j.com/cool/47T-1304.htm

<寸言>
 各国が、他国の「良い」システムを真似て、自国にも導入します。蜘蛛の巣状の刑務所(パノプティコン)もその一例と思われ、日本でも網走刑務所に導入されています。
 ラッセルは、「残念ながら、たとえ彼が最も楽観的な時に期待したように、彼のパノプティコンが全面的な支持を得られても、依然として刑務所にいない人々が存在し・・・」と茶々をいれています。これは我々一般市民には無関係のことでしょうか?
 マイナンバーが全国民を監視する道具として「も」使えると言うのは、言い過ぎでしょうか? 国民全員が持っているわけではないマイナンバーカードのことを言っているのではなく、国民全員に振られているマイナンバーのことを言っています。マイナンバーシステムにいろいろなシステムがリンクされれば、出生時から死亡時の記録まで一元管理ができます。もちろん、各省庁は自分の省庁に関係する事柄のみ、システムを通して見ることができますが、他のシステムとの連携部分は見ることはできません。しかし、総理大臣だけは、マイナンバーを使用している全てのシステムを見ることが(実際はやらないとしても)可能であったとしたら・・・!?
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