バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 私は、「快楽」や「利益」よりも、「満足」(という用語)を使う。「利益」という用語は、一般的に使用される場合、狭すぎる意味を持っている。たとえば、ある人が博愛的衝動から寄付をする場合、彼は自己利益から行動していると言うべきではない。しかし、彼が寛大な性格を持っていれば、この行為から得られる満足感は、自分の財産に執着することから得られるものよりも大きいかもしれない。「満足」という用語は、自分の欲望が実現することによって得られる全てのものを包含するほど十分広いものである。これらの欲望は必ずしも自分自身と関連しているわけではなく、自分自身がそれを感じるという点で関連している。

We should not say that a man is acting from self-interest if, from an impulse of benevolence, he gives his money to charity, but he may still, if he has a generous disposition, derive more satisfaction from this act than from a miserly clinging to his possessions. The term “satisfaction” is wide enough to embrace everything that comes to a man through the realization of his desires, and these desires do not necessarily have any connection with self, except that oneself feels them.
 出典: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 13:Ethical Sanctions, n.1
 詳細情報.: https://russell-j.com/cool/47T-1301.htm

<寸言>
 日常生活においては、お互いの発言の内容や意図や込められた感情がだいたい伝われば支障はあまり起きません。しかし、論理的な議論をしている場合は、使われている用語をしっかり理解しないと、相手の発言をよく理解できないどころか、誤解や曲解が生まれがちです。
 ラッセルの言動は明確な場合が多いですが、注意深く読まないと、早とちりして、理解しないどころか誤解する人も少なくありません。ここでは、「interest」と「satisfaction」という用語をしっかり区別して理解する必要があります。

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