バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 しかし、満足感を引き起こすものに関しては、人によっていくらか違いはあるものの、非常に大きな一致があり、特に単純な財に関してはそうである。誰もが生命と健康のための条件を必要としており、ほとんどの人が生物学的な生存条件を必要としている。衣食住が十分でなくても幸せだった、あるいは幸せだと言う禁欲主義者もいるが、そのような人々は稀であり、統計的には無視してもよいだろう。ほとんどの人は、自身の幸福のために、物質的な生活条件に加えて、ある程度の友好的な交友関係、最低限の安全、そして何らかの集団における一体感を必要とする。これらの必要物は全て普遍的なものであるため、政治はこれらを必要としない少数の人々を無視することができる。これらの必要物は全て、現在、非常に不均等に分配されている。

But, although there are some differences between different people as to the things that cause them to feel satisfaction, there is a very large measure of agreement, particularly where the simpler goods are concerned. Everybody requires the conditions of life and health, and most people require the conditions of biological survival. There have been ascetics who were happy, or said they were happy, with insufficient food and drink and shelter and clothing, but such men are rare, and statistically they may be ignored. Most people need for their happiness, in addition to the material conditions of life, a certain amount of friendly companionship, a certain minimum of security, and a sense of integration in some herd. All these needs are so nearly universal that politics can ignore the few who can dispense with them. All these needs are at present very unevenly distributed.
Source: Bertrand Russell: chapter 11: Production and Distribution, n.2
More info.: https://russell-j.com/cool/47T-1102.htm

<寸言>
 生活困窮世帯のことが報道されれば、私達は皆(ほとんどの人が)同情します。しかし、その同情心は、グルメ番組を見たり、別のもっと興味深い話題があれば、すぐに消えてしまいます。それは仕方がないことですが、重要なのは(必要なのは)意識的に、世界中のめぐまれない人々のことを意識的に時々考え、自分ができる最低限のことだけはやってみることです。
 ラッセルの次の言葉は示唆的です。(感受性も知性も勇気も、どれも重要だとの主張です。)

「貧困は、産業革命以来、ただ単に集団的な愚かさのせいである。‘感受性‘は貧困を根絶したいと人々に思わせるだろうし、’知性‘はその方法を人々に示すだろうし、’勇気‘はそれを採用するように人々を導くだろう。 Poverty, since the industrial revolution, is only due to collective stupidity. Sensitiveness would make people wish to abolish it, intelligence would show them the way, and courage would lead them to adopt it. (A timid person would rather remain miserable than do anything unusual.)
出典: On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2: The Aims of Education
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-230.HTM

 ところで、ラッセルが「誰もが生命と健康のための条件を必要としており、ほとんどの人が生物学的な生存条件を必要としている。」と述べているところがひっかかりました。「生物学的な生存条件」も全ての人が必要なものではないかと思い、ChatGPT と対話をしたところ、次のような回答があり、納得しました。

「ラッセルが「ほとんどの人」と「すべての人」という異なる表現を使った理由を理解するためには、彼が何を伝えようとしていたのかを考える必要があります。

生命と健康のための条件: これは、食糧、水、住居、医療など、人々が健康で充実した生活を送るために必要な条件を指します。これらは、基本的な生存以上のものであり、すべての人にとって必要です。

生物学的な生存条件: これは、厳密には生物として生き続けるための最低限の条件を指します。ラッセルは、「ほとんどの人」にとってこれが必要であると言っていますが、これは禁欲主義者や修行者のように非常に限られた条件で生きられる人々がいることを認識しているためです。これらの人々は、最小限の食料や住居で生きることができると考えられています。」

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