個人には固有の価値があり、最良の個人は、集団の他の者からは求められていない、そうして、しばしば反発さえされるような、人類全体の利益(一般的な善)に貢献をする。従って、人類全体の利益(一般的善)を追求する上で、他者に対し明らかに有害でない(限りでの)自由を個人に認めることは不可欠である。このことが、自由と権威との永続的な対立を生じさせ、権威が美徳の源であるという原則に制限を設けるのである。
The individual has his own intrinsic value, and the best individuals make contributions to the general good which are not demanded, and are often even resented, by the rest of the herd. It is therefore an essential part of the pursuit of the general good to allow to individuals such freedoms as are not obviously injurious to others. It is this that gives rise to the perennial conflict of liberty and authority, and sets limits to ihe principle that authority is the source of virtue.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 10:Is there ethical knowledge ?
More info.: https://russell-j.com/cool/47T-1015.htm
<寸言>
大部分の人々が「常識」であると思っていたことが否定され、新たなよりよい考え方や行動様式が取って代わって「新しい常識」になった時に、人類の進歩が生まれます。
そうであるならば、様々な分野における権威を否定をしようとする個人が現れた時には、寛容の態度、あるいは「一時的な」判断停止が、必要となります。
しかし、これは、科学の分野においてはよく理解されていますが、社会思想の分野においてはあまり理解されていません。
ひとつ例をあげれば、ラッセルは第一次世界大戦に反対して反戦運動をしたために刑務所に収監され、非国民としてののしられました。(A国とB国が戦争状態にはいると、A国で戦争反対をさけぶ人は、B国では英雄扱いされ、B国で戦争反対を叫ぶ人は、A国では英雄扱いされます。なかには、いかなる国であっても戦争反対を叫ぶ者は全て非国民であると主張する国家主義者もいます。そうして侵略戦争のための一兵卒であっても、英雄として祭られます。)
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