大多数の人々よりも常により快適な環境のもとで育ってきた人々は, 一般的に言って, 彼ら(自分達)よりも恵まれない人々への同情・共感を感じることができない。彼らは,時には露骨に冷淡で無神経であり,時には「幸福は魂に依存し, 物質的な幸福とは無関係であるから,(正当な)取り分以上の財貨を自分達が得たとしても貧乏人に実害を及ぼしていることにはならない」といった嫌悪感を抱かせる見解を採用する。
Men whose circumstances have always been more comfortable than those of the majority are, as a rule, incapable of sympathy with those who are less fortunate. Sometimes they are frankly callous, sometimes they adopt the more nauseous view that happiness depends upon the soul and is independent of material well-being, so that they are doing no real harm to the poor in taking more than their share of this world's goods.
Source: Bertrand Russell: On economic security (written in June 1, 1932 and pub. in Mortals and Others, v.1, 1975.
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<寸言>
裕福な家で生まれ育っても、父親が経営している会社が倒産したり、両親あるいは本人が重い病にかかって生活が一変してしまうことはそれほどめずらしいことではありません。また、そういった境遇になることなく、恵まれた一生を送る人もめずらしくありません。
「人間万事塞翁が馬」ですが、国民全体を相手にする政治家の場合はそんな諺で達観することはできません。日本は「世襲政治家」(自民党の国会議員の1/3は世襲議員)が政治を牛耳っており、彼らは、頭では表面的に少しは理解していても、「(自分達よりも)恵まれない人々への同情・共感をあまり感じることができない」という大きな欠陥を持っています。
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