バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 上記の理論においては、倫理学は、単なる願望的なあるいは命令的なものではなく、真あるいは偽である(真偽の判定が可能な)陳述を含んでいるが、その基盤は依然として情緒(emotion)や感覚(feeling)、(つまり)承認の情緒や、享受あるいは満足の感覚(の両方)に基盤をおくものであり、前者は「正しい」と「間違っている」の定義に含まれており、後者は「本質的価値(内在的価値)」の定義に含まれている。 そうして、私達が自分達の倫理の理論を受け入れるために依存している訴え(appeal)は、知覚の事実への訴えではなく、「正しい」と「間違っている」、「良い」と「悪い」という概念を生み出す情緒や感情への訴えである。

Although, on the above theory, ethics contains statements which are true or false, and not merely optative or imperative, its basis is still one of emotion and feeling, the emotion of approval and the feeling of enjoyment or satisfaction, the former being involved in the definition of “right” and “wrong”, the latter in that of “intrinsic value”. And the appeal upon which we depend for the acceptance of our ethical theory is not the appeal to the facts of perception, but to the emotions and feelings which have given rise to the concepts of “right” and “wrong”, “good” and “bad”.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 9:Is there ethical knowledge ?
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0915.htm
<寸言>
 倫理(学)において、情緒や感覚は重要ですが、情緒(感情)は国民によって、また個人個人で異なります。そこで情緒に影響されない、客観的な倫理説をこれまで探求してきました。しかし、「その基盤は依然として情緒(emotion)や感覚(feeling)、(つまり)承認の情緒や、享受あるいは満足の感覚(の(両方)に基盤をおくもの」に留まっています。即ち、「正しい」や「間違っている」の定義のなかに私達の感情的要素が含まれてしまっており、それでは客観的なものとは言えません。客観的な定義は不可能でしょうか? さらに探求が続きます。


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