妻と私は、夕食後、交互に音読するのを習慣とし、このやり方で多数の標準的な巻数の多い歴史書をじっくりと読み進んだ。そのようにして読んだ最後の歴史書は、グレゴロヴィウスの「ローマ市史」(全8巻)であったように思う。これは、私の生涯のなかで、知的に最も実り多い時期であり、それを可能にしてくれた最初の妻に、深く感謝している。
After dinner, my wife and I used to read aloud in turns, and in this way we ploughed through large numbers of standard histories in many volumes. I think the last book that we read in this way was the History of the City of Rome by Gregorovius. This was intellectually the most fruitful period of my life, and I owe a debt of gratitude to my first wife for having made it possible.
Source: Bertrand Russell: The Autobiography of Bertrand Russell, v.1, chap. 5: First marriage, 1967
More info.:https://russell-j.com/beginner/AB15-050.HTM
<寸言>
黙読には黙読の良さがありますが、音読にも音読の良さがあります。複数で音読して聞きあえば、間違って発音すれば気づくことができますし、その人が理解せずに読んでいることがわかる場合さえあります。音読を繰り返せば、相手にわかりやすく話せるようにもなりますので、講演の役にもたつはずです。ラッセルは講演が上手で、いつも多くの聴衆を集めましたが、若い頃の音読の習慣が役立ったと思われます。
我々の時代?は国語や漢文の授業で生徒に音読させていましたが、今でもその習慣はしっかり残っているようです。音読を繰り返すことで吃音が治った人もいます。一番有名な例は、映画「英国王のスピーチ」で知られている英国王、ジョージ6世(1895~1952)です。
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