バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )


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 私はよく、オックスフォード近くのケニントン(Kennington)にある歩道橋の上に立ち、通過する汽車を跳め、明日こそは汽車の下に身をなげだそうと決意した(注:歩道橋は鉄道橋の一部と思われます。(当時のケニントン鉄道歩道橋は1923年に架けかえらえています。)しかし、翌日になるといつも、多分『プリンキピア・マテマティカ』(『数学原理』)はいずれ完成するだろうと望んでいる自分を見出した。さらに、その困難は、私に対する挑戦状であり、それに立ち向かって克服しないのは臆病だろうと思われた。そこで私は中断せずにその仕事を続け、遂に完了した。

I used to stand on the footbridge at Kennington, near Oxford, watching the trains go by, and determining that tomorrow I would place myself under one of them. But when the morrow came I always found myself hoping that perhaps Principia Mathematica would be finished some day. Moreover the difficulties appeared to me in the nature of a challenge, which it would be pusillanimous not to meet and overcome. So I persisted, and in the end the work was finished.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.1, chap. 6: Principia Mathematica, 1967.
More info.:https://russell-j.com/beginner/AB16-150.HTM

<寸言>
 数学を論理学(記号論理学)で基礎づけようと(演繹して導き出そうと)意気込んでスタートしたラッセルでしたが、「ラッセルのパラドクス」(論理的な矛盾)を発見し、暗礁にのりあげてしまいます。他の学問と異なり、一つでも矛盾があれば、論理学も数学も瓦解してしまいます。私的な不幸も重なり、ラッセルは人生最大の苦境に陥ってしまいます。

 1929年に出版された『ラッセル幸福論』からは想像できないラッセルの姿ですが、こういった数々の苦闘を乗り越えたからこそ、説得力のある「幸福論」が書けたのだろうと思われます。現在なお、世界中で読まれており、日本でも角川、岩波、その他、いろいろな出版社から日本語訳が出されてきており、いずれも50刷り以上、版(刷)を重ねています。累計すれば(日本だけでも)数百万部になるのではないかと思われます。一時期、米国のホテルの多くで、聖書とともに、ラッセルの幸福論が置かれていたそうです。

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