バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )


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 けれども、罪は、敵に負わされる場合と、自分自身の欠点として考える場合とでは、心理的に大きく異なる。謙遜の極致に達するのが原罪の教義であり、その最も優れた説明は聖アウグスティヌスにある。その教義によれば、アダムとエバは自由意志を持つものとして創造され、善と悪を選択する力を持っていた。彼らがリンゴを食べたとき、彼らは悪を選び、その瞬間に、彼らの魂に堕落が入り込んだ。それ以来、彼らとその子孫は、自分の意志の力で善を選択することができなくなった。ただ神の恩寵だけが、選民(神によって選ばれた者)が高潔に生きることを可能にしたのである。

Sin, however, is psychologically very different when imputed to our enemies from what it is when thought of as our own shortcoming, for the one involves pride and the other humility. The extreme of humility is reached in the doctrine of original sin, of which the best exposition is to be found in St. Augustine. According to this doctrine, Adam and Eve were created with free will, and had the power of choice between good and evil. When they ate the apple they chose evil, and in that moment corruption entered into their souls. They and all their progeny were thenceforth unable to choose the good by the strength of their own unaided wills; only Divine Grace enabled the elect to live virtuously.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, 1954, chapter 7: Sin, n.6
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0706.htm

<寸言>
 イスラエルやアメリカにはキリスト教原理主義者がどれだけいるのか正確な数はわかりませんが、彼らは、人間は原罪を負っており、神(一神教の絶対神)に帰依した者のみが救われる(天国にいける)のでありそれ以外は地獄に行くと本当に信じているようです。
 彼らが信じる神は、最初の人間(アダムとイブ(エヴァ))を創造する時に、自由意志を持つように創造したということになっています。しかし、アダムとイブは、神に背き、誘惑に負けて罪を犯したために、「自己責任」として、原罪から逃れることができす、神に祈る(帰依する)しか救われないとの思想です。
 それにしても、神は「全能」ということになっているので、神は罪を犯さない者として人間を創造できたはずです。また、自由意志を持つように創造すれば罪を犯すことを「全能」の神は(事前に)予想できたはずです。そうでないとしたら、「全能」の神は「全能」ではないことにならないでしょうか? それとも、神は退屈だったので、実験的に自由意志を持つ人間はどういうことになるか見てみたかったのでしょうか?(笑) (余興としての人間創造説?)

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