バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )


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 けれども、精神分析家達が人間の罪の意識の起源を幼年期のごく初期にまでさかのぼるのは確かに正しい。その時期、親の教えは疑うことなく受け入れられるが、(子供の)衝動は強すぎて親の教えに常に従うことはできない。そのため、(親からの)不承認の経験は頻繁で苦痛を伴うものであり、うまく抵抗することができるかも知れない誘惑も同様(頻繁で苦痛を伴うもの)である。その後の人生では、親の不承認はほとんど忘れ去られるようになるかもしれないが、それでもある種の行為に関連して何か苦痛を感じる可能性があり、この感覚は、そのような行為は罪深いという確信に変換されるかもしれない。

The psycho-analysts however, are certainly right in tracing the origins of a man’s sense of sin to the very early years of childhood. In those years parental precepts are unquestioningly accepted, but impulse is too strong for them to be always obeyed; hence experience of disapproval is frequent and painful, and so is temptation which may be successfully resisted. In later life the parental disapproval may come to be almost forgotten, and yet there may still be a feeling of something painful associated with certain kinds of acts, and this feeling may translate itself into the conviction that such acts are sinful.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 7:sin
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0703.htm

<寸言>
 先日、NHK-BSで(イラン出身の)サヘル・ローズさんのアラビア訪問の旅を興味深く視聴しました。
 彼女は、イラン・イラク戦争の時にイラク軍の空爆により4歳で親と生き別れ、孤児になってしまいます。そうして、孤児院に慰問に訪れる人に養女にしてもらおうとして努力を続けますが、何度も失敗します。しかし、サヘルが7歳の時、孤児院を訪れた25歳の女性(フローラ・ジャスミン)に猛アピールを何度もしてようやく養女にしてもらうことに成功しました。
 しかし、「養母フローラの生家は身分の高い家柄であり、身元の明らかでないサヘルを養子として迎えることに反対する。その反対を押し切ったことによりフローラは勘当同然の状態」(Wiki)になったとのことで、サヘルは養母の人生を非常に厳しいものにしてしまったという「罪の意識」で苦しむことになります。
 本来ならば、サヘル・ローズが「罪の意識」に苦しまなければいけない理由はないはずですが、小さい時の自分の「ひとりよがり」の行いが養母を苦しい人生に追いやってしまったという思いがいつまでもつきまとい、その後30年近く苦しみ続けているそうです。

#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell