バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 他人に対する心配(fear 不安)は、自分自身について心配するよりも、ほんの少しだけ(only a shade)ましなだけである。さらに、他人に対する心配は、しばしば、所有欲のカムフラージュになっている。(即ち)他人の不安をかき立てることによって、他人をもっと完璧に支配する力を得られると期待されるからである。これは、これまで男性が臆病な女性を好んできた理由のひとつであることは、言うまでもない。なぜなら、男性は女性を保護する(守る)ことによって女性を所有するに至ったからである。

Fear for others is only a shade better than fear for ourselves. Moreover it is very often a camouflage for possessiveness. It is hoped that by rousing their fears a more complete empire over them can be obtained. This, of course, is one of the reasons why men have liked timid women, since by protecting them they came to own them.
 Source: Bertrand Russell: The Conquest of Happiness, 1930, chap.12: Affection.
More info.:https://russell-j.com/beginner/HA23-050.HTM

<寸言>
 ここのところずっと Human Society in Ethics and Politics, 1954 から引用してきています。しかし、それでは飽きてしまう人が出てくるかも知れません。そこで、今後は、時々、過去の投稿のものでよいと思われるものを増補改訂したうえで、再投稿することにします。
(その場合は、n.0001=以前の投稿番号、のように、過去の投稿番号を添えておきます。)

 老後の不安をかきたてたり、「国民の命を守ることが最重要だ!」と連呼したり、敵国の脅威を掻き立てたりして、政権への支持を強固なものにしようとするのは、政党や政治家の常套手段です。そう、政党や政治家は、臆病な国民を(内心さげすみながら)好ましく感じることが少なくなく、彼らの発言の多くは所有欲や支配欲のカモフラージュだというわけです。

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