バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 二つの矛盾対立する倫理規範が、同じ共同体に同時に受け容れられることはあり得る。その最も注目すべき事例は、教会が教えるキリスト教道徳と、騎士道時代に形成されいまだに決して滅び去っていない名誉の規範(注:侮辱されたら決闘で決着)、との対比である。教会は、戦争中や正当な手続きによる場合を除き、殺人を禁じていたが、名誉を守るためには、紳士はいかなる時でも、屈辱をはらすためには即座に決闘を行う用意がなければならない。

It is possible for two contradictory ethical codes to be simultaneously accepted by the same community. The most remarkable example of this is the contrast between Christian morality, as taught by the Church, and the code of honour formulated in the age of chivalry and by no means extinct in our own day. The Church condemned homicide, except in war or by due process of law, but honour demanded that a gentleman should at all times be ready to fight a duel to avenge an insult.
 Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 2
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0208.htm

<寸言>
 "double standard" や "double morality" の源泉・起源とでも言ったらよいでしょうか?
 教会(信仰)の命ずるところと国家が命ずるところとが「共存」することによって、二重基準(double standard)が容認されることになります。
 そうして、(国家及び教会の)最高権力者からまったく力を持っていない庶民まで二重基準がゆきわたることになります。
 いや、それ以外にラッセル(やマックス・ウェーバー)が指摘する対内道徳(自分達の共同体の内部に適用する道徳)と対外道徳(自分達の共同体の外部に適用する道徳)という二重道徳があります。

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