バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 人間は、それ(その道徳規範)がどのようなものであれ、自分が所属する共同体(社会)の道徳規範に従うべきだと主張されるかもしれない。 その人がそうすることを責めることはできないと私も認めたくなるが、そうしないことは賞賛されるべきだと私はしばしば考える。 人食いの習慣(食人風習)はかつては広範に行われており、ほとんどの場合、宗教と関連していた。 人食いの習慣が自然に消滅したとは考えられない。 それは邪悪な習慣であると主張した道徳の先駆者達がいたに違いない。

It might be maintained that a man should obey the moral code of his own community whatever it may be. I should be inclined to concede that he cannot be blamed for doing so, but I think he should often be praised for not doing so. The practice of cannibalism was once almost universal, and in most cases it was connected with religion. It cannot be supposed that it died out of itself; there must have been moral pioneers who maintained that it was an evil practice.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 1
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0204.htm

<寸言>
 過去、世界中で行われていた"食人"風習について、ウィキペディアは豊富な情報を提供しています。日本ではそんなことはなかったかのように思ってしまいますが、次のように書かれています。

「日本の食人風習については南方熊楠による論考がある。  縄文時代後期の大森貝塚において、住民の墓地とは別に貝殻捨て場で獣畜と同様に細かく砕いた人骨が発見されていることから、食人行為が行われていたと推測される。また綏靖天皇が七人の人々を食べたという史料の記述をはじめとして、酒呑童子説話中の源頼光一行や、安達ヶ原の鬼婆の家に立ち寄った旅人、肝取り地蔵といった説話に古代日本におけるカニバリズムの存在が散見される。」/

 蛇足ですが、Yahoo 知恵袋に、「It might be maintained that a man should obey the moral code of his own community whatever it may be.」の日本語訳「ひとは、それがどんなものであろうとも、自分自身が所属する集団の道徳的基準に従うべきであると断言できるであろう。」がベスト・アンサーとして紹介されています。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12138549962
 もちろん、これは誤訳です。「might be」の意味やニュアンスをまったく理解していません。ラッセルの著作からの引用だということも気づいていないようです。

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