バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 いずれの共同体(社会)においても、- 海賊船の乗組員であってさえ- 命じられる行為と禁じられる行為、賞賛される行為と非難される行為とがある。海賊は、襲撃の際には勇気を、 分捕品の分配の際には正義(公正さ)を発揮しなければならない。もしこの点に落ち度があれば、「良い」海賊ではない。ある人がより大きい共同体に属するならば、その義務も犯しうる罪の範囲もずっと拡大し、それに関係する考察もより複雑になる。しかし、さらに(それに加えて)、従わないと汚名をさらすことになるために、従わざるを得ない規範がある。

In every community, even the crew of a pirate ship, there are acts that are enjoined and acts that are forbidden, acts that are applauded and acts that are reprobated. A pirate must show courage in attack and justice in the distribution of the spoils; if he fails in these respects, he is not a “good” pirate. When a man belongs to a larger community, the scope of his duties and possible sins becomes greater, and the considerations involved become more complex, but there is still a code to which he must conform on pain of public obloquy.
 Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 2
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0201.htm

<寸言>
 どうってことない文章ですが、DeepL 及び Google 翻訳に、試しに日本語訳させると、両者とも、2箇所大きな誤訳をしてしまいます。参考まで、ご紹介しておきます。

 1つ目:DeepLもGoogle翻訳も「acts that are enjoined and acts that are forbidden」を「禁止されている行為と禁止されている行為」と訳してしまいます。ラッセルは鸚鵡ではないので、そんな同語反復を言いません。この正しい日本語訳は、「命ぜられる行為」と「禁止される行為」です。「enjoin」の基本的な意味は「命ずる」であり、命ぜられる場合、「やりなさい」と「やってはいけません」の2種類があり、法律用語では後者の意味で使われます。

 2つ目:「but there is still a code to which he must conform on pain of public obloquy.」を、DeepL は「世間から非難されることを覚悟で従わなければならない規範が"依然として"存在する。」と訳し、Google 翻訳も「公の場での不法行為の痛みに関しては、"依然"として従わなければならない規範が存在します。」と訳しており、何を言っているのかよく理解できません。
 この一文の正しい日本語訳は、「しかし、さらに(それに加えて)、従わないと汚名をさらすことになるために、従わざるを得ない規範がある」のはずです。「still」がでてきたら機械的に「依然として」という訳語をあてるようでは誤解の元になります。

 ChatGPT とも対話しましたが、最初は、DeepL の訳をよしとしていました、しかし、論理的に間違いを指摘したところ、間違いを認めました。論理的に攻めると素直に非を認める点では、ChatGPT は人間より立派です??

#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell