バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 ギブ・アンド・テークの問題として考えられる倫理(学)が、政治(学)とはほとんど区別できないことは明らかである。この点において、この倫理(学)は、神の意志に服したり良心の声に従うことで成り立っている,より個人的な倫理とは、異なっている。 倫理説(倫理学の理論)が考察しなければならない問題の一つは、これらの二種類の道徳体系相互の関係及び、それぞれの領域の限界(の設定)である。・・・。そのいずれか一方を無視するならば、その結果として生ずる倫理は片寄った、不十分なものとなるであろう。

It is clear that ethics considered as a matter of give-and-take is scarcely distinguishable from politics. In this it differs from the more personal ethic which consists in obedience to the will of God or submission to the voice of conscience. One of the problems that an ethical theory must consider is the relation of these two kinds of moral system, and the delimitation of their respective spheres. ... If we ignore any one of them, the resulting ethic will be partial and inadequate.
 Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 1
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0123.htm

<寸言>
 第一章「倫理的信念と倫理的感情」の最後の段落の言葉です。
 倫理及び倫理学を考察して行く上での、ラッセルの基本的な姿勢を述べています。社会を強調して個人を無視せず、また、個人を強調して社会を軽視しないで、両者(個人と社会)をいわば緊張関係のもとに、様々な問題を検討していこうというわけです。
 長いので途中の言葉を割愛しましたが、その部分をあげておきます。

 「(たとえば)芸術家に、お金目あてよりもむしろよい作品を作る方を選ばせるような心情を、考えてみよう。これは、正義とは何の関係もないけれども、倫理的価値の一つとして認められなければならない。そのような理由から、私は、倫理学は全面的に社会的なものであり得るとは考えない。私達がこれまで考察してきた2つの倫理的感情の源泉は、その端緒においては粗野であったとしても、高度に文明化された人々に影響しうるような形態にまで発展してゆく可能性がある。
(Consider the kind of sentiment that makes an artist prefer to do good work rather than potboilers; this must be allowed an ethical value although it has nothing to do with justice. For such reasons, I do not think that ethics can be wholly social. Each of the sources of ethical feeling that we have been considering, however crude in its beginnings, is capable of development into forms that can influence highly civilized men.

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