バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 しかし「正義(公正)」は、正確に定義することがとても難しい概念である。 プラトンの『国家(共和国)』は、正義(公正)を定義しようとする試みであると公言しているが、その試みにあまり成功しているとは言えない。民主主義的な感情の影響の下、 現代人は正義(公正)を平等と同一視する傾向があるが、今でもこの見解には限界がある。・・・。思うに、「正義(公正)」とは、実際には、「大部分の人々が正しい(公正だ)と考えること」あるいはむしろ、悪循環に陥いらないような言い方をすれば、「不満の根拠として一般に認められるものを最小限に抑えるような制度」と定義されなければならない。

... but "justice" is a concept which it is very difficult to make precise. Plato's Republic professes to be an attempt to define it, but it cannot be said that the attempt is very successful. Under the influence of democratic sentiment modern men tend to identify justice with equality, but even now there are limits to this view. ... I think that in fact "justice" must be defined as "what most people think just", or rather, to avoid the vicious circle, "that system which gives the least commonly recognized ground of complaint".
 Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 1
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0122.htm

<寸言>
 A国の人々が考える「正義」とB国の人々が考える「正義」は、多くの場合、異なっています。パレスチナ(のハマス他)の人々が考える「正義」とイスラエスの人々が考える「正義」とはかなり異なるからこそ、戦いはやみません。
 実際上、正義とは「「大部分の人々が正しい(公正だ)と考えること」という定義で良さそうに思えますが、それでは、多くの紛争において説得力を持ちません。ということで、「不満の根拠として一般に認められるものを最小限に抑えるような制度」という定義のほうがよさそうです。もちろん、紛争当事者同士が納得できる定義が見つかっても、両者の間で憎悪の感情がある限り、紛争はなくなりません。
 国家という制度が亡くならない限り、戦争はなくなりません。世界政府が実現した暁には、それは「内戦」になりますが、国家が強力になれば内戦がなくなっていくように、世界連邦政府が強力になるにつて、「国家」(←古い名称/廃藩置県が参考になります)同士の戦いもなくなっていくはずです。

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