バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 第二の議論は、もし道徳教育がタブーを教え込むことだけに限られていたならば、人間というものは、一つのタブーを捨てれば、やがて、他のタブーも全て捨ててしまいがちである、というものである。もしあなたがモーセの十戒は全て同等の拘束力をもつと教えられてきて、その後、安息日における労働は悪いことではないという結論に達するならば、あなたは、殺人もまた許容できると、また、ある一つの行為を他の行為よりも悪いと考えなければならない理由はないと、判断してよいかも知れない。自由思想が急速に侵入した後にしばしば続く一般的な道徳の崩壊は、伝統的な倫理規範に、合理的な根拠がないことに起因している。

The second argument is that, if moral education has been confined to the inculcation of tabus, the man who throws over one tabu is likely to throw over all the rest. If you have been taught that all the Ten Commandments are equally binding, and you then come to the conclusion that work on the sabhath is not wicked, you may decide that murder also is permissible, and that there is no reason why any one act should be thought worse than any other. The general moral collapse which often follows a sudden irruption of free thought is attributable to the absence of a rational basis for the traditional ethical code.
 Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 1
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0113.htm

<寸言>
 伝統的な倫理規範の脆弱さはその倫理規範に合理的な根拠がないものが少なくないとのラッセルの指摘はそのとおりだと思われます。
 たとえば、日本会議に集う人達の道徳観・倫理観には、多くの国民が理解・共感する合理的な根拠が乏しいため、一般的なものになりえません。いや、それだからこそ、あたかも宗教のように、狂信的に信じる人達がでてきます。合理的な根拠があれば、理性的に説明するだけで相手に納得してもらえるはずです。それができないので、そういう古い道徳観を持っている政治家は、教育勅語を道徳教育の副読本にしようとしたりします。

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