バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 バスや 郊外電車で隣り合わせで坐る人々は、通常は、互いに話しかけない。 しかし、空襲のような、あるいは異常な濃霧でさえ、何か警戒すべき事態が起こると、ただちに見知らぬ者同士が互いを仲間と感じ始め、遠慮なく話し合い始める。このような行動は、人間性が私的側面と社会的側面との間で揺れ動いていることを例証している。我々(人間)は完全に社会的であるとは言えないからこそ、我々は、目的を示唆する倫理学(ethics)や行為のルールを植え付ける道徳律を必要とするのである。

People sitting next to each other in a bus or a suburban train usually do not speak to each other, but if something alarming occurs, such as an air raid or even an unusually thick fog, the strangers at once begin to feel each other to be friends and converse without restraint. This sort of behaviour illustrates the oscillation between the private and the social parts of human nature. It is because we are not completely social that we have need of ethics to suggest purposes, and of moral codes to inculcate rules of action.
 Source: Bertrand Russell: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), introduction
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-introduction-02.htm

<寸言>
 当たり前のことを言っているだけですが、こんな簡単な発言でも誤解する人がいます。

 玉川大学出版部から出版された訳書で、勝部真長氏は「ethics」を「倫理」と訳してしまっています。「倫理」(ethic)が必要なのはあたりまえです。ラッセルがここで言っているのは、多くの人が理解・納得・あるいは共感できる倫理学(ethics)が必要だと言っています。みんなが素直になれば「倫理」は必要だが、「倫理学」は必要ではない、ということではありません。ラッセルの著書の翻訳ではこういった不注意な訳が多すぎます。


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