バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 最初にこの観点(注:進歩の哲学/進歩史観)を全面的に展開させたのはヘーゲルであった。ヘーゲルの哲学はとても奇妙なものなので、正気の人間にヘーゲルの哲学を受け入れさせることができるとは(正気な人間なら)誰も期待しなかったであろうが(one would not have expected )、彼は受け入れさせた(のである)。ヘーゲルはその哲学をとても不明瞭に(with so much obscurity)述べたために、人々はそれが深遠なものであるにちがいないと考えた。ヘーゲルの哲学を一音節の言葉(短い数語)で明快に説明することはとても簡単である。しかし、そうすると、彼の哲学の馬鹿馬鹿しさは明らかとなる。これから述べることは茶化して言っているのではない。もちろんヘーゲリアン(ヘーゲル信奉者)は茶化していると主張するだろうけれども。

The man who first fully developed this point of view was Hegel. Hegel's philosophy is so odd that one would not have expected him to be able to get sane men to accept it, but he did. He set it out with so much obscurity that people thought it must be profound. It can quite easily be expounded lucidly in words of one syllable, but then its absurdity becomes obvious. What follows is not a caricature, though of course Hegelians will maintain that it is.
 Source: Bertrand Russell: Bertrand Russell: Philosophy and Politics, (1947)
Reprinted in: Unpopular Essays, 1950
More info.:https://russell-j.com/cool/UE_01_philosophy_and_politics-160.HTM

<寸言>
 私が学部生の時は、卒論でヘーゲルをとりあげる学生がけっこういて、ヘーゲルの研究者もそこそこいました。日本では、最近でもヘーゲルをやっている人がけっこういるのでしょうか?
 ラッセルが学部生の時は、ケンブリッジ大学もヘーゲルの哲学がさかんで、ラッセルも数年ヘーゲリアンになりました。しかし、数学(数理哲学)についてヘーゲルはとても愚かなことを言っていることもあったりして、注意深く読むにつれ、ヘーゲルの厳しい批判者となりました。
 昔、NHKの連続TV小説(朝ドラ)で樫山文枝主演の「おはなはん」というのがありました。樫山文枝のお父さんの樫山欽四郎が『ヘーゲル精神現象学の研究』をテキストにヘーゲルを講じており私も聴講しました。しかし、どんな内容だったかまったく記憶にありません。
 「食わず嫌い」と言われるかも知れませんが、ヘーゲルの著作を読む気になれません。ラッセルはいろいろなところでヘーゲルをとりあげていますが、ラッセルの説明は明快です。

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