
![]() ラッセル英単語・熟語1500 |
西洋の民主主義世界の大学で追求されている哲学は、少なくともその意図においては、知識の追求の一部であり、科学において求められるのと同種の分離(detachment 政治や宗教に影響されない,一つの独立した研究分野)を目指しており、政府にとって都合のよい結論に到達するよう要求されるものではない。多くの哲学教師は自分の生徒の政治的意見に影響を与えようとする意図を退けるだけでなく、哲学は徳を教え込むべきであるという見解も否定するであろう。このことは、物理学者や化学者の場合と同様に、哲学者にはほとんど関係のないことだと言うであろう。
Philosophy, as pursued in the universities of the Western democratic world, is, at least in intention, part of the pursuit of knowledge, aiming at the same kind of detachment as is sought in science, and not required by the authorities to arrive at conclusions convenient to the Government . Many teachers of philosophy would repudiate, not only the intention to influence their pupils’ politics, but also the view that philosophy should inculcate virtue. This, they would say, has as little to do with the philosopher as with the physicist or the chemist.
Source: Bertrand Russell: Philosophy and Politics, (1947)
Reprinted in: Unpopular Essays, 1950
More info.:https://russell-j.com/cool/UE_01_philosophy_and_politics-030.HTM
<寸言>
哲学には、認識論や存在論や宇宙論など、基礎的・理論的な研究分野の他に、政治哲学や教育哲学のような応用哲学や価値論や倫理学のように、立場によって哲学に含めたり、含めなかったり(人によっては中心的なテーマだと考えたり)する分野もあります。
ラッセルの立場は、認識論や存在論、宇宙論などの理論哲学が本来哲学が取り扱うべき分野であり、価値論は知識論のなかで取り扱うことが困難なので、政治哲学や社会哲学のなかで論じたほうがよいと考えていました。
そう言うとラッセルの著作をあまり読んだことのない人は誤解しそうですが、ラッセルは、そういった分野についても膨大な著作を残しています。あくまでも理論哲学の問題としてではなく、具体的な問題として扱っており、ラッセル・ファンはむしろ、そういった一般向けの著作(ラッセル自身は popular books と呼称)の愛読者のほうが圧倒的に数では上回っています。
#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell