バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Ru
ssell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 現代の技術は、一定の制限内で、余暇を少数の特権階級の特典ではなく、社会(共同体)全体に均等に分配される権利にすることを可能にした・・・。
 現代世界では、勤労の美徳を信じることによって多大な害がなされており、幸福と繁栄に至る道は仕事を組織的に減らしていくことにある、と私は真剣に言いたい。・・・。
 一日4時間の労働で生活必需品と基本的な快適さを得る権利を与えるべきであり、残りの時間は自分の時間として、その人が適切と考えるように使用させるべきである、と私は言いたい。

Modern technique has made it possible for leisure, within limits, to be not the prerogative of small privileged classes, but a right evenly distributed throughout the community. ...
I want to say, in all seriousness, that a great deal of harm is being done in the modern world by belief in the virtuousness Of WORK, and that the road to happiness and prosperity lies in an organized diminution of work....
... I mean that four hours' work a day should entitle a man to the necessities and elementary comforts of life, and that the rest of his time should be his to use as he might see fit.
 Source: In Praise of Idleness, 1935, chap.1.
 More info.: https://russell-j.com/beginner/LEISURE.HTM

<寸言>
 このエッセイ(1935年出版)は、第2次世界大戦前夜の暗い世相に抗するべく、執筆されたものです。即ち、1932年に日本は清朝廃帝薄儀をかつぎだして満州国を成立させ、1933年1月30日にヒトラーがドイツの首相に就任し、1934年12月にソ連で粛正が始まりました。
 ラッセルはこの本のなかで(も)ベイシック・インカム(この本のなかでは vagabond wage 遊民賃金)の考えを述べています。最近では、ラッセルのベイシック・インカムの考え方を紹介する人も少し出てきました。

 誤解をする人も多そうですが、ラッセルは、一日4時間働ければ「豊かな」生活を全員享受できるとは言っていません。国民が全員4時間働き、社会的に有益な仕事を全員に与えて失業者をなくせば、「生活必需品と基本的な快適さ」をほとんどの人が享受できるようにすることは(現代の科学及び科学技術を活用すれば)可能なはずだという信念です。もちろん、もっと働いて他人よりも豊かで贅沢な生活をしたい人は1日10時間以上働いてもかまいません。そうやって平均以上の生活をする人は一定数以上いるはずです。
 これは一国だけでは難しく、世界的に様々な格差をなくしていかないと全人類に広げることはできません。100年後か200年後かわからないですが、人類が核戦争で滅びないかぎり実現「可能な」理想だと、ラッセルは信じようとしていました。可能であっても、多くの人類がその道を選択するかどうかは別問題です。

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