ラッセル英単語・熟語1500 |
世の中の大多数の人々に比べて,恒常的により快適な境遇のもとに生きる人々は,通常,自分よりも不幸な人々への同情を感じない。彼らは,時折あからさまに'無感覚'であり,時折,人間の幸福は魂のみにかかわり物質的福福祉とは無関係であるから取り分以上の財貨を自分達が得たとしても貧乏人に実害を及ぼすことにはならないといった'嫌悪感を抱かせる見解'を採用する。 例外的特権に依存する安心・安全は不正であり,それゆえ,自分に都合のよい社会的不正のための口実を見いだそうとする人間は,必ず,'ゆがんだ道義的感覚'を身につける。他方,自由競争の勝者である現代世界の支配者達は,冷酷無慈悲さをはじめ,競争での成功を実現する様々な行為や資質の価値を過大評価する。
Men whose circumstances have always been more comfortable than those of the majority are, as a rule, incapable of sympathy with those who are less fortunate. Sometimes they are frankly callous, sometimes they adopt the more nauseous view that happiness depends upon the soul and is independent of material well-being, so that they are doing no real harm to the poor in taking more than their share of this world's goods. Security depending upon exceptional privilege is unjust, and the man who has to find excuses for an injustice by which he profits is bound to acquire a distorted moral sense. On the other hand, the powerful men of the present day who are the victors in a free fight overestimate the value of ruthlessness and of the various acts by which success in competition is achieved.
Source: Mortals and Others, v.1, 1975
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<寸言>
既得権打破を唱える者(政治家他)も自分が新たに権限や権力を手に入れると、既得権打破を言わなくなるか、あるいは「努力によって手に入れたものは尊重すべきだ」と言って、自分が持つにいたった既得権を死守します。
ラッセルは英国を代表する貴族(本家はベッドフォード公爵家)でしたが、伯爵の称号は自分からは使用しませんでした。(第一次世界大戦中に出版した Justice in War Time, 1915 の表紙にだけ、貴族の子弟を表す "Lord"がついていますが、これは出版社が許可なく勝手に追加したものです。) ラッセル自身は第3代目ラッセル伯を継ぎましたが、著作においては、何度も貴族制度はなくなったほうがよいと主張しています。
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