ラッセル英単語・熟語1500 |
知的な人間の道徳感情において、いわゆる「慈善」に関してほど変化したものは他にない。乞食の窮乏状態が偽りないものであれば、乞食にお金をめぐむこと(喜捨)を拒否することは困難であるが、喜捨の行為は心地よいものではなく、また赤面を引き起こしがちである。つまり、そこには不可避的に、誰もが物乞いをする必要がないように社会は作られていなければならない、といった反省がある。(従って、)喜捨をすることによって自己満足を感ずるどころか、自分たちは他人をこのような窮乏と屈辱的な状態にしてしまう体制で利益を得ていると感じて、社会的良心が痛むのを感じる。
There are few ways in which the moral sentiments of intelligent people have changed more than as regards what is called 'charity'. It is difficult to refuse money to a beggar if his need seems genuine, but the act of giving is uncomfortable and inclined to cause a blush: there is inevitably the reflection that society ought to be so organized as to make it unnecessary for anyone to beg. So far from feeling self-satisfied because of giving, we feel our social conscience pricked because we profit by a system which reduces others to such want and humiliation.
Source: Mortals and Others, v.1, 1975
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<寸言>
テレビなどマスコミにとりあげられると(「24時間TV、愛は地球を救う!」他)、多くの日本人が寄付をしたりして支援の手をさしのべます。しかし、普段は、困った人を助けようなどとは考えずに、暮らしています。
国民性をさぐるために、世界中でいろいろな国際的な調査が行われています。「弱者救済」に関する調査(添付画像)では、日本人の「弱者を救うべきだとは思わない」と応えた人の割合の多さが際立っています。アメリカに追従することの多い日本は、アメリカ人以上の冷たさを示しています。
従って、ラッセルが述べているように「誰もが物乞いをする必要がないように社会はつくられていなければならない」と考える日本人も、欧米に比べて、かなり少ないのではないかと疑われます。ましてや、「自分たちは他人をこのような窮乏と屈辱的な状態にしてしまう体制で利益を得ている」と感じている日本人はさらに少ないだろうと想像されます。その一端が、どの政党を支持しているかで伺い知ることができるような気がします。
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