バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Ru
ssell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 経済力の重要な形式は,今日,国際関係の上では,原材料と食糧を占有することであり,一番重要な原料は戦争に必要な原材料(注:石油など)である。このようにして,軍事力と経済力とはほとんど区別のできないものとなっている。たとえば,石油をとってみよう。石油を持たずに戦える国はないし,また戦うことができなければ油田を持つことはできない。どちらかの条件を得ることができないかも知れない。(即ち)ペルシャの石油は,ペルシャ人に十分な軍隊がなかっので,ペルシャにとって役に立たなかった。また,ドイツの軍隊も,ドイツ人が石油を手に入れることができなければ役に立たないであろう。これと似た事態は食糧に関しても存在している。強力な戦争機構には,国民の精力を食糧生産から(戦争遂行の行動へと)大きくそらせる必要がある。従って,強力な戦争機構には広大な肥沃な地域を軍事的に支配することができるかどうかに依存している。


The important form of economic power, in international relations, is now the possession of raw materials and food; and the most important raw materials are those required in war. Thus military and economic power have become scarcely distinguishable. Take oil, for example: a country cannot fight without oil, and cannot own oil fields unless it is able to fight. Either condition may fail : the oil of Persia was useless to the Persians because they had no adequate armies, and the armed forces of Germany will be useless to the Germans unless they can obtain oil. A similar state of affairs exists in regard to food: a powerful war-machine requires an immense diversion of national energies from food production, and therefore depends upon military control of large fertile areas
Source: Bertrand Russell : Power, a new social analysis, 1938
 More info.: https://russell-j.com/beginner/POWER08_150.HTM

<寸言>
 国土が広ければ何らかの天然資源が大量に存在する可能性が高くなります。現在では、脱石炭が叫ばれていますが、石油及び天然ガスについては、いずれの国も、当分の間、依存しなければならない状況です。両方ともロシアは大量に保有しており、経済力(GDP)は韓国並みに落ちてしまったロシアですが、天然資源と軍事力(核兵器の大量保有)によってかろうじて「大国」の地位を保っています。(太陽光は多くの国が利用できる「天然資源」ですので、効率のよい蓄電池の開発及びスマート電力網の整備によって、普及させていきたいものです。)
 一方、ウクライナは世界的な穀倉地帯の一つであり、ウクライナ南東部は印欧祖語(インド・ヨーロッパ語族の共通の祖先となったとされる仮説上の言語)発祥の地と言われています。
 日本が第二次世界大戦時に中国大陸や南方を占領しようとしたのも、石油と食糧を求めてのことでした。もちろん、今回、ロシアがウクライナを侵略したのは食糧を求めてのことではありません。しかし、ロシアのウクライナ侵略に反対する国々においても、自国のエネルギーをロシアにどれだけ依存しているかによって、温度差がかなりあります。
 ということで、「経済力の重要な形式は,今日,国際関係の上では,原材料と食糧を占有することであり,一番重要な原材料は戦争に必要なものである」というラッセルの指摘はよく理解できます。

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