ラッセル英単語・熟語1500 |
私は5歳の時,「幼年時代は人生で一番幸福な時期だ」と言われたのを覚えている(当時を思えば,真っ赤な嘘である)。私は,慰めようもないくらい泣き,死んでしまいたいと思い,また,これからの年月,どのようにして退屈に耐えるべきだろうかと思案した。・・・。子供の人生は,本能的に前向きである。つまり,常に,将来可能になるだろうことに向かっている。このことは,子供の努力に対する刺激の一部である。子供の心を後向きにすること,未来を過去よりも悪いものとして示すことは,子供の人生を根元から害するものである。しかし,それは,心ない感傷主義者達が,以前,子供に向かって幼年時代の喜びを語ることによってやっていたことである。
I can remember, at the age of five, being told that childhood was the happiest period of life (a blank lie, in those days). I wept inconsolably, wished I were dead, and wondered how I should endure the boredom of the years to come. It is almost inconceivable,..... The child's life is instinctively prospective : it is always directed towards the things that will become possible later on. This is part of the stimulus to the child's efforts. To make the child retrospective, to represent the future as worse than the past, is to sap the life of the child at its source. Yet that is what heartless sentimentalists used to do by talking to the child about the joys of childhood.
Source: On Education, especially in early childhood, 1926
More info.: https://russell-j.com/beginner/OE04-120.HTM
<寸言>
子供の心、「親知らず」。チコちゃんに聞いてみたい(笑)。
【注: a black lie (悪意のある嘘)ではなく a blank lie となっています。誤植の可能性もあるとは考えましたが,George Allen & Unwin Limited 社1927年刊の第3刷ハードカバー版も,同社1976年刊のペーパーバック版もともに a blank lie となっていることから誤植ではなさそうです。比較的大きな英和辞典にも a blank lie という熟語は載っていませんが,Webを検索すれば用例は確かに存在しています。 blank (空虚な;白紙の)には「純然たる」といった意味があるので,「真っ赤な嘘」という意味と思われます。「白なのに赤はおかしい」なんて言わないでください。】
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