バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Ru
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ラッセル英単語・熟語1500

「論理的形式を表現しうるためには、我々は、命題とともに(命題を携えて)論理学の外に、即ち、世界の外に出ることができなければならないだろう」(ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』4.12)。
 この主張は、私がウィトゲンシュタインと最も意見が一致した時期において納得できなかった唯一の論点を引き起こしている。彼の『論考』のために書いた序文の中で私は、いかなる所与の言語においても、その言語が表現しえない事物があり、そういう事物について語りうるところのより高次の言語を構成することは常に可能である、という考えを提示した。もちろんその新たな言語の中にも、それの語りえない事物がやはり存在するであろうが、それはさらに高階の言語において語ることが可能であり、そのようにして無限に進む。この考えは当時は新しいものであったが、いまでは論理学において当然のこととして一般に認められるようになっている。この考えはウィトゲンシュタインの神秘主義を片づけてしまうものであり、またゲーデルの提出したもっと新しい難問をも片付けるものだと私は考えている。

‘To be able to represent the logical form, we should have to be able to put ourselves with the propositions outside logic, that is outside the world.' (Tractatus, 4.12 .) This raises the only point on which, at the time when I most nearly agreed with Wittgenstein, I still remained unconvinced. In my introduction to the Tractatus, I suggested that, although in any given language there are things which that language cannot express, it is yet always possible to construct a language of higher order in which these things can be said. There will, in the new language, still be things which it cannot say, but which can be said in the next language, and so on ad infinitum. This suggestion, which was then new, has now become an accepted commonplace of logic. It disposes of Wittgenstein's mysticism and, I think, also of the newer puzzles presented by Godel.
Source: My Philosophical Development, 1959, by Bertrand Russell
 More info.: https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_10-070.HTM

<寸言>
 日本にはウィトゲンシュタイン崇拝者が多く、「語り得ぬものについては沈黙しなければならない(Wovon man nicht sprechen kann, daruber muss man schweigen)」というウィトゲンシュタインの言葉が好きな人が多いようです。
 1922年に出版されたウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』(独英対訳版)につけられたラッセルの序文に対しては、ウィトゲンシュタインは自分の考えを正しく理解していない(ところがある)と文句を言っています。それを受けて、日本のウィトゲンシュタイン研究者は頻繁にそのことについてふれ、「ラッセルはウィトゲンシュタインの主張をよく理解していなかった(=裏返せば、「私はウィトゲンシュタインの言うことを理解できる」)と指摘する人がけっこういます。そういった人達は、1922年に出版された当時、自分なら(教祖的な,わかりにくい物言いをする)ウィトゲンシュタインの主張を理解できただろうとでも言うのでしょうか?

 「教祖様(ウィトゲンシュタイン)の言ってることを解釈する(説明する)だけでひとかどの研究者になれる」なんて言うのは言い過ぎでしょうが、ラッセルの『プリンキピア・マテマティカ』の序文(哲学書房から日本語訳がでています)くらい読んでタイプ理論をある程度理解してから、批判をしてもらいたいものです。 

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