バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Ru
ssell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 一部の人々は自分の内面から(自分に忠実に)生きているが,その他の人々は隣人が感じたり言ったりすることを映す鏡にすぎない。後者は,決して真の勇気を持つことができない。彼らは他人から称賛されなければ心が休まらない。そして,称賛を失うのではないかという恐怖心にたえずとりつかれている。「へりくだること(卑下)」を教えこむことは,望ましいこととしてずっと考えられてきたが,それはこの悪徳のゆがんだ形態を生み出すもととなった。「へりくだること」は,自尊心を抑圧したが,他人から尊敬されたいという欲望を抑圧しはしなかった。卑下は,形だけの謙遜を,他人から信用を得るための手段としたにすぎない。こうして,卑下は偽善と本能に対する裏切りを生み出した。

Some men live from within, while others are mere mirrors of what is felt and said by their neighbours. The latter can never have true courage: they must have admiration, and are haunted by the fear of losing it. The teaching of 'humility', which used to be thought desirable, was the means of producing a perverted form of this same vice. 'Humility' suppressed self-respect, but not the desire for the respect of others, it merely made nominal self-abasement the means of acquiring credit. Thus it produced hypocrisy and falsification of instinct.
Source: On Education, especially in early childhood, 1926
 More info.: https://russell-j.com/beginner/OE02-140.HTM

<寸言>
 過剰な自信も過剰な謙遜もよくないと多くの人が思っています。しかし、日本人の場合は、謙遜の態度(行動や発言)を示しておいたほうが無難だと、必要のない時でも控えめな態度を示しがちです。本心を聞きたい・知りたいと思っているのに、曖昧な言葉しか言わなかったり、必要以上に相手(特に何らかの意味で権力や権限を持っている者)をよい気分にさせるような発言をすることは「防衛反応の現れ」であり、「裸の王様」を生み出す原因ともなります。

 何事もなければそういった態度を取り続けても社会はうまくまわっていきますが、他人の目や気持ちを推し量ってばかりいる人は、勇気を出して発言したり行動したりする必要がある時に、結局は「様子見をする」ことが多そうです。「小人閑居して不善をなす」という諺もあります。いや、「小人」というのは「品性の卑しい人」という意味なので、ここでは、「悪の勝利のために必要なことは、善人が何もしないことだけである。(The only thing necessary for the triumph of evil is for good men to do nothing.」というエドマンド・バークの名言のほうがよさそうです。(なお、「善人」というのは、「善良な市民」=「悪人でない一般人」くらいの意味です。)

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