ラッセル英単語・熟語1500 |
不幸なことに,従順という性質は、創意(イニシアティブ)と指導力を持った人間が持っていることは稀である。かなり昔、多分古代ローマの愚かな人間が、「人の上に立つ人間はまず人に服従することを知らなければならない」と言っているが、真理はそのまったく逆である。人に従うことを覚えた人間は、自分の個人的創意を全部失うか、権力に対する怒りでいっぱいになり、破壊的かつ残忍な人間となる。それゆえ、最良の人間は指導者には滅多になれない。
Unfortunately docility is not a quality which is often found in the man capable of initiative or leadership. Some fool, long ago - probably a Roman - said that to know how to command, a man must first learn how to obey. This is the opposite of the truth. The man who has learnt to obey will either have lost all personal initiative or will have become so filled with rage against the authorities that his initiative will have become destructive and cruel. It seldom happens, therefore, that the best men rise to the top.
Source: Mortals and Others, v.1, 1975
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<寸言>
どの分野においても、偉くなっていくと(ポストがあがっていくと)、相手を説得しなくても(説得する努力をしなくても)上下関係(権力)だけで自分の思ったことができるようになっていきます。そこから不幸な勘違いがおこり、世界が見えなくなり、「裸の王様」状態になりやすくなります。そのような事態に陥らないためには、権力をもっていてもできるだけ行使せず、できるだけ論理的に説得する習慣をしっかり身につけることが肝要です。
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