バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 私達はどちらも以前かなり長い間パリに住んでいたことがあったが(注:ラッセルは,1894年9月~11月16日まで,パリ英国大使館名誉館員),私の方は,見物すべきと推奨されている所や物は何一つ見に行ったことがなかった。バトー・ムッシュに乗ってセーヌ川を上り下りしたり,多くの教会や美術館や花や小鳥の'市'を訪れるのは楽しかった。しかし,私達は,'つまずき'も経験した。ある日,サント・シャペルへ行った。サント・シャペルは,礼拝堂の建築美について説明を聴いているアイスランド人で満員だった。私の姿を見つけるや,彼らはその説明を聴くのをやめ,最重要の'見もの'だとして,私のまわりに集まってきた。

We had each lived in Paris for fairly long periods, but I had never visited any of the things that one should see. It was pleasant to travel up and down the river in the bateaux mouches, and to visit various churches and galleries and the flower and bird markets. But we had set-backs: we went to the Ste Chapelle one day and found it full of Icelanders being lectured to on its beauties. Upon seeing me, they abandoned the lecture and crowded about me as the 'sight' of most importance. My remembrance of the Ste Chapelle is somewhat garbled.
 Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3
 More info.: https://russell-j.com/beginner/AB32-040.HTM

<寸言>
 有名人は有名であることによって利益を得ていることも多いので、衆人環視という「有名税」を払わないといけません。注目を浴びることは嬉しいことであるとともにわずらわしいことです。注目を浴びることがいやなら、目立たないようにひっそり暮せばよいですが、著作家であろうが、作曲家であろうが、企業人であろうが、成功すればどうしても注目を浴びてしまうのは仕方のないことです。【眞子さん(皇籍離脱によって「元」皇族になりましたが、秋篠宮の長女であることは変わりがありません)に対する「注目」は度が過ぎています。】

 ところで、ラッセルが一時期、パリ大使館の「名誉」館員だったということですが、『ラッセル自伝』第1巻をお読みの方は覚えているはずです。ラッセルはアリスと結婚したいと家族(祖母や叔母など)に話すと、家族はみな(平民との)結婚に猛反対し、祖母は、自分を愛しているならアリスから一度離れてパリの大使館員になって冷静に考えてほしいと、懇願しました。ラッセルは、祖母の願いを一切聞かずに祖母が亡くなれば後悔すると思い、祖母の願いを聞いて一度アリスから離れ、気持ちが変わらなければアリスとの結婚を認めてほしいと言って、いやいやパリの大使館で約3ヶ月足らずを過ごしました。いやいや行ったパリなので、パリ市内の見学などしていなかったというしだいです。
 https://russell-j.com/beginner/AB14-190.HTM

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