バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 私はすでに,不当に理性の奴隷になっていると非難されるのに馴れていた。そうして,彼(D. H. ロレンス)は私に活気を与える'一服の不合理'を与えてくれるものと考えた。事実,私はある一定の刺激を彼から受けた。また,彼を知らずに書いた本の出来よりも,彼からの猛烈な非難にもかかわらず書いた本の出来の方がより良かったと思う。しかしこれは,彼の思想の中に,何かよいものがあったといっているわけではない。私は,いま振り返ってみると,彼の思想に何らかの長所があったとは思わない。それらは,世間がすぐに自分の言うことに従わないからといって立腹する'神経質な専制君主気取りの人間'の思想にすぎなかった。

I was already accustomed to being accused of undue slavery to reason, and I thought perhaps that he could give me a vivifying dose of unreason. I did in fact acquire a certain stimulus from him, and I think the book that I wrote in spite of his blasts of denunciation was better than it would have been if I had not known him.
But this is not to say that there was anything good in his ideas. I do not think in retrospect that they had any merit whatever. They were the ideas of a sensitive would-be despot who got angry with the world because it would not instantly obey.
Source: Bertrand Russell: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 1
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB21-150.HTM

<寸言>
 普通なら親しく交流することなどありそうもないラッセルとD.H.ロレンス(1885-1930)。しかし、オットリン・モレルの紹介とあれば、前向きに付き合おうとするのは、ラッセルにとって、当然のことでした。
 短くも熱烈に付き合ううちに、両者の考え方が根本的に違うことが徐々にわかっていきました。理性を否定し、不合理な激情を称賛するロレンスと,理性を重んじるラッセル,が意気投合するはずはありませんでした。

 小説家の困ったところですが、ラッセルもオットリンも、『恋する女達』や『息子と恋人』なかであまり好ましくない人物として登場させられました。

 柴田多賀治「D. H. ロレンスと B. ラッセル」から少し引用しておきます。
 https://russell-j.com/cool/SIBATA.HTM

「・・・1921年5月になって、『恋する女達』が漸くイギリスで出版されたとき、この小説は、ロレンスの知人達に非常な衝撃を与えた。というのはこの小説は、ロレンスが戦時中に最も親しくしていた知人達を屈辱するような戯画化された肖像に充ちていたからである。当時あれほど親しくしていた人々を、一方ではこのように眺めていた (「恋する女達」は、1916年12月には完成されていた) ということが人々を驚かせたのである。 マリ、マンスフィールド、ヘスルティン、モレル夫妻等、皆被害者であり、ラッセルもその例外ではありえなかった。彼は、ハーマイオン(オットリン・モレル)の友人サー・ジョシュア・マシースンとして登場するが、彼は「博学だが、うま味のない50歳の準男爵で、しょっちゅう警句を連発しては、しゃがれた声で、馬のように笑う。(Women in Love. secker,p.85)とか「その精神組織たるや無感覚かと思われるばかり強靱で、・・・」(Women in Love. Secker, p.86)などと描写されている。こういう扱い方をされたのでは、いかに温厚で、保護者的愛情でロレンスに対していたにしても、ラッセルとしては面白くなかったにちがいない。」

 
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