バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 現代世界には,2つの哲学がある。1つはルソーから由来するもので,「規律」を不必要なものとして脇に一掃してしまう。もう1つは, - その完全な表現を全体主義のうちに見ることができるが- 「規律」を外部から課せられる本質的なものと考える。コンラッドは「規律」は(人間の心の)内部から来るべきものであるという古い伝統に固執した。彼は規律のなさを軽蔑し,また単なる形式的な(外部からの)規律を嫌った。すべてこうした点で,私は,自分が彼とほとんど一致していることがわかった。

In the modern world there are two philosophies: the one which stems from Rousseau, and sweeps aside discipline as unnecessary, the other, which finds its fullest expression in totalitarianism, which thinks of discipline as essentially imposed from without. Conrad adhered to the older tradition, that discipline should come from within. He despised indiscipline and hated discipline that was merely external.... In all this I found myself closely in agreement with him.
Source: Bertrand Russell: The Autobiography of Bertrand Russell, v.1 chap. 1
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB17-100.HTM

<寸言>
 外部から課せられる規律ではなく、内部から(自ら)自分に課す規律は納得感があるため、不自由だとは感じません。
 全体主義も(強者にとって都合のよい)新自由主義も嫌悪すべきものですが、他人を自分と同等の者と認めた上での協力や(お互いの)自由の尊重は快いものです。
 これは常識的な考え方です。しかし、全体主義や新自由主義に魅力を感じる人も少なくないようです。
 個人の自由は重要ですが、相手を不自由にする自由は認められません。思想や表現の自由は極力保障されるべきものですが、行動の自由は(相手の行動を不自由にする要素が含まれていますので)制限が必要です。ワクチンを打たない、マスクはしない自由はあるとしても、両方とも拒否し、大勢の人の中に入っていく行動の自由は認められません。
 いずれにせよ、そういった規律は、個々人の内部からくるものであるべき・あってほしいというのが、ラッセルやコンラッドの基本的な考え方であり態度であると言ってよいと思われます。

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