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It was in part upon such reports as Schoenman's and of those of Christopher Farley who, in November, 1964, was the first member of the foundation to go to Vietnam to obtain first-hand impressions, that I base my attitude and statements in regard to the Vietnam war, as well as upon reports of other special investigators. Chiefly, however, I base my opinions upon the facts reported in the daily newspapers, especially those of the United States. These reports seem to have been published almost by chance since they appear not to have affected editorial policy.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3 chap. 4
More info.:https://russell-j.com/beginner/AB34-240.HTM
<寸言>
米国の「国益」重視の立場から,New York Times その他の米国の報道機関は,ラッセルらは「客観性の乏しい証拠」をもとに「反米活動」をしていると批判しました。その批判に応えるために、ラッセルは、New York Times 自らが日々報道してきた事実や証拠を積み上げることによって,米軍の戦争犯罪を暴こうと努力したとここでは言っています。現地特派員(従軍記者等)による細かな記事は、New York Times の幹部も重要視しないので、自分達が報道した無数の記事と社説などの主張が矛盾していても気づかない可能性があります。
ところで、今年の1月7日に、(米国政府が米国民にベトナム戦争の状況を正しく伝えていなかったことを示す機密文書(ペンタゴン・ペイパーズ)を入手して報道した)元ニューヨークタイムズ記者のニール・シーハン氏(1988年にピュリツァー賞と全米図書賞受賞)が84歳で亡くなりました。当時、ニクソン政権は「安全保障上の観点・懸念」から記事掲載の差し止めを最高裁に求めましたが、報道の自由が広く認められている米国では、米国政府の訴えを退けました。日本の最高裁では無理そうですが・・・。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/78909
米国政府を厳しく批判したラッセルを米国は「ラッセルは耄碌(もうろく)した」「反米主義者だ」「客観的な証拠に基づいていない」などと言って激しく非難しました。米国民の意識が大きく変わり始めたのは、ラッセルの死後、アメリカがベトナムから撤退してからのことでした。
【参考まで:添付画像は、ラッセルが『ベトナムの戦争犯罪』の中で引用しているニューヨークタイムズ紙掲載記事(1962年7月25日付の第一面)の紙面縮小イメージです。Google の画像検索で、「New York Times July 25 1962 Homer Bigart」というキーワードで検索できます。もちろ、クレジット決済すれば拡大された紙面を即座に閲覧できます。】
#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell