バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )


 <『拝啓ラッセル様ー一般市民との往復書簡』から>

 「なぜ私はキリスト教徒ではないか」(注:ラッセルの講演)という表題は、私の興味をそそります。なぜかと言うと、ブレイン・トラスト(注:1940年代から1950年代に放送されたBBCのラジオ番組のちにテレビ番組 The Brains Trust)における(専門回答者としての)あなたの態度は全て、その柔和さ、寛容、ユーモア、偏らない客観的な知識に対する渇望、また、事実や真実の表現において、完全にそして心底からキリスト教徒的だと私には思われたからです。・・・。


 拝復 ボーケット博士、(ラッセルからの返事:1957年10月13日付)
・・・思うに、離婚、産児制限、及び検閲制度に関するカトリックの公式な態度は、人類にとって極めて危険なものです。W.チャーチル卿が勇敢なキリスト教徒の紳士と讃えたフランコ将軍は、姦通をほのめかすようないかなる小説作品も禁止にしました。・・・。  あなた方がにキリスト教的と考える美徳は、日本では仏教徒的だと考えられ、インドではヒンズー教的だと考えられます。そういった主張には根拠がないと私は考えます。・・・。
 敬具 バートランド・ラッセル


'... The title of Why I am Not a Christian? intrigues me, because your whole attitude on the TV (Brains Trust) seemed to me, in its gentleness and tolerance, its humour, and its desire for an impartial knowledge and expression of the truth, so utterly and profoundly Christian. ...'

Dear Dr Bouquet,
... I consider the official Catholic attitude on divorce, birth control, and censorship exceedingly dangerous to mankind. Geneal Fanco, whom Sir Winston Churchill praised as a 'gallant Christian Gentleman', has forbidden any work of fiction alluding to adultery, ...
The virtues which you would consider specifically Christian, are thought in Japan to be specifically Buddhist and in India to be specifically Hindu. I consider all these claims unfounded...
Yours sincerely
Bertrand Russell
 Source: Dear Bertrand Russell, 1969.
 More info.:https://russell-j.com/beginner/DBR1-05.HTM

<寸言>
 BBC の番組 The Brains Trust を紹介しているビデオが YouTube にあります。1945年と、とても古いものですが、以下のサイトで視聴できます。
 https://www.youtube.com/watch?v=BVpCUtNdM0Q )

 ところで、ラッセルはキリスト教会をかなり批判し続けましたので、キリスト教会関係者や狂信的な信者からかなり反発を受けました。ラッセルは中国滞在時にインフルエンザにかかって生死をさまよったことがありますが、その際、日本の『大阪毎日新聞』1921年3月29日朝刊は「ラッセル死亡」の誤報を掲載したため、そのニュースが世界に飛び交いました。そうして、キリスト教系のある新聞は「宣教師は,バートランド・ラッセル氏死去の報に接し,安堵から胸をなでおろしても(ほっとしてため息をついても)許されるであろう」と書きました。
https://russell-j.com/beginner/AB23-110.HTM

 一方、キリスト教徒のなかにも、ラッセルこそ真のキリスト教徒だ、あるいは真の宗教者だと称える人も少なからずいました。それを反映してか、ラッセルが亡くなった時には、World Jewish Congress とヴァチカンの新聞が声明を発表しました。後者は次のように言っています。
「我々の考えがどうあろうと、人間の威厳を護持するための彼の余すところない努力の前に叩頭するのは我々の義務である。彼はおだやかだが恐るべき、気ぜわしいが確固としたプロテスター(異議申立者)であった。彼に比すれば今日の若いプロテスターたちは蒼白い亡霊に過ぎない。」
https://russell-j.com/TANI5-01.HTM

 
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