バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )


 これに似たもう一つの批判は,私の名がつけられている演説や論文や声明は私自身が書いたものではないというものである。・・・事実を言えば,私の名前を付しているものは通常は私自身が書いているものである。私が書いたものでなくとも,私の意見や思想を表わしているものはある。手紙あるいはより公式の文書も,私が自分で議論したり,読んだり,承認したりしなかったものにはまったく署名をしていない。

Another charge, allied to this one, is that I myself compose neither speeches nor articles nor statements put out over my name. ... In point of fact, what goes out over my name is usually composed by me. When it is not, it still presents my opinion and thought. I sign nothing - letters or more formal documents - that I have not discussed, read and approved.
 Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3 chap. 4
 More info.: https://russell-j.com/beginner/AB34-170.HTM

<寸言>
 国際的に評価の高いメディアでも、自国の利益(国益)に関わることについては、先入観や偏見に左右され勝ちです。ベトナム戦争が行われていた時の New York Times も同様でした。米国内の世論がベトナム戦争に対して否定的になるにつれて変わっていきましたが、中立的な報道は困難でした。

 領土問題などは特に公正中立な報道は難しく、いずれの国のメディアも自国寄りの、先入観を持った報道をしがちです。

 ベトナム戦争に深入りしていた米国をラッセルは激しく非難しました。ラッセルの発言だとされるものが、読者・視聴者の考えとかなり離れている場合には、読者・視聴者は自分の知識不足や先入観・偏見を反省することなく、ラッセルの言ったことではないのではないかとか、あるいは、正確に報道されていないのではないかとか、思ったり・言ったりする人も、当時かなり存在していました。

 ベトナム戦争に対するラッセルの思想と行動は、ラッセル『ベトナムにおける戦争犯罪』(河出書房新社)に詳細に述べられています。ラッセルは、わざと New York Times の報道記事を多数とりあげて矛盾をついています。他のメディアの報道であれば事実ではないと言い張ることも可能でしょうが、New York Times 自身が報道したことは「それは事実ではない」と主張できませんので、「痛いところをつかれた」ということになります。
 日本の政治家などは、過去の一連発言を同時にあげて矛盾をつけばグーの音も出ないはずです。
 https://www.bbc.co.uk/programmes/p04qgxlv

 
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