バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )


 同志達は,私の意志にかなり反して,この財団に私の名前をつけることを強く主張した。私の名前を付け加えると,我々の活動自体を支持してくれる多くの人々に,財団に対する先入観を与えることになるだろうということを,私は理解していた。そういうことをすれば,立派に設立された,尊敬すべき諸団体に先入観を確実に与え,また英国内の多数の個人に確実に先入観を与えるだろう。我々を財政的に支持してくれる地位にある人々に対しては,特にそうである。しかし同志達は,私は長年平和活動を行なってきており,最近は彼らの支援を受けており,,またその活動は私の名前と結びつけて認識されてきたのであるから,私の名前をはずすことは活動を後退させること意味するだろう,と強く主張した。

Rather against my will my colleagues urged that the Foundation should bear my name. I knew that this would prejudice against the Foundation many people who might uphold our work itself. lt would certainly prejudice well-established and respectable organisations and, certainly, a great number of individuals in Britain, particularly those who were in a position to support us financially. But my colleagues contended that, as I had been carrying on the work for years, helped by them during the last few years, and my name was identified with it in many parts of the world, to omit my name would mean a set-back for the work.
 Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3 chap. 4
 More info.: https://russell-j.com/beginner/AB34-090.HTM

<寸言>
 政府や地方自治体が設置している団体であれば(税金を使えますので)長く存続可能です。しかし、民間団体で財政的基盤が弱い場合は、設置当初ははなばなしくても、創設者が亡くなり10年以上経過すれば活動が不活発になっていく可能性大です。
 ラッセルは、自分が死んでも平和財団が長期に渡って活動してほしいと願っていましたので、自分の名前がついていると寄付者が限定されてしまうかも知れないと心配しました。
 ラッセルは、ベトナム戦争でアメリカを厳しく非難するとともに、ソ連によるチェコ侵入の時はソ連(当時のソビエト連邦)を厳しく非難しました。米ソの政府を厳しく非難するような人物の名前を冠した平和団体では、アメリカや共産主義国からの寄付が余り集まらないかも知れない、と心配したのでしょうか?
 しかし、各国の政府や権力者には目障りな人間に映るかも知れませんが、バートランド・ラッセルは世界的なビックネームであり、ラッセルの名前がついているとついていないのとでは雲泥の差があります。支援者達がラッセルの名前を冠するのは必須だと考えた気持ちはよくわかります。

 
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