バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )


 <『拝啓ラッセル様ー一般市民との往復書簡』から>
'・・・。あなたは、私のシェリーに関するいくつかの発見に興味を持たれるだろうと考えました。'

 拝啓 ダウリング 様(1960年7月25日付)
 タニーラルト(注:詩人のシェリーが一時期住んだ家)のシェリーに対する襲撃をご調査なさった資料をお送りくださり、誠に有難うございます。・・・タニーラルトの全景を眺めることのできる場所に住んでいる現在、私の興味はさらに新たな刺激を受けています。・・・。無神論の故にオクスフォード大学から追放され、自由恋愛を鼓吹したかどで上流社会からしめ出された若い熱心な社会主義者(シェリー)を迎え入れることは、現在においてさえ、近隣の紳士階級(貴族のすぐ下の地主階級)連中にとっては、少し困難が伴うだろうと思います。しかし、堕落した現代においては、紳士階級は昔のようではなくなっており、(美)徳は収入に比例するといったような信条はもはやはやらなくなってしまいました。

'... I thought you would be interested in my discoveries concerning Shelley. ...'

Dear Mr Dowling,(July 25, 1960)
Thank you very much for sending me your very interesting investigation of the attack on Shelley at Tanyrallt. Ever since, as an adolescent, I became interested in Shelley, this story has intrigued me, and now that I live in full view of Tanyrallt my interest has received a fresh stimulus. I am quite persuaded by your reconstruction and I congratulate you on unearthing the man Lesson. I did not know that already then there was a peer
'... who brews
a lordlier liquor than the Muse.'

I think perhaps, even now, the neighbouring gentry might have some difficulty in welcoming an ardent young Communist who had been sent down from Oxford for atheism and excluded from decent society for preaching free love. But in our degenerate days the gentry are not what they were and the doctrine that virtue is proportional to income has become unfashionable.
 Source: Dear Bertrand Russell, 1969.
 More info.: https://russell-j.com/beginner/DBR5-41.HTM

<寸言>
 ケルト系のウェールズ語は、綴が複雑な上、どのように発音したらよいのかわからないものが多く、やっかいです。
 ラッセルが晩年住んでいたプラス・ペンリン(Plas Penrhyn)という呼称の家からシェリーが一時期住んでいたタニーラルト(Tanyrallt : Tan-Yr-Allt)という呼称の家が眺められたとのことですが、純粋なウェールズ語なのか、英語系になっているのか、自信を持って断定できません。
Plas(プラス)というのは、ウェールズ語で「貴族などの田舎の館(邸宅)」、Penrhyn は「半島」ですので、「半島邸」といったところでしょうか?(確かに半島のつけねのところに建っています。)
 シェリーが住んでいたTanyrallt (英語系?)はウェールズ語の形にすると Plas Tan-Yr-Allt ということらしく、現在では「Tan-Yr-Allt 邸」という有名なホテルになっていて、予約可能です。
https://www.visitwales.com/accommodation/guest/plas-tan-yr-allt-historic-country-house-59036
https://www.facebook.com/PlasTanYrAllt.Percy.Shelley/

 因みに、辞書に載っている最も長い英単語は次の語で,「とても小さい火山塵を吸い込むことで引き起こされる肺の病気」という意味だとネットで紹介されています。 「pneumonoultramicroscopicsilicovolcanoconiosis (ニューモノウルトラミクロスコーピックシリコヴォルケーノコニオシス)」

 しかし、次のウェールズ語のほうがもっと長く、発音はとても難しいものです。ウェールズ語は英語ではないと言うかもしれないですが・・・?
Llanfairpwllgwyngyllgogerychwyrndrobwllllantysiliogogogoch (ランヴァイル・プルグウィンギル・ゴゲリフウィルンドロブル・ランティシリオゴゴゴホ = イギリス・ウェールズ北部のアングルシー島にある村で、世界で最も長い一語の地名)
 あまり役に立たない無駄知識でした。

 なお、ラッセルの返事のなかに "an ardent young Communist" という表現が出てきますが、昔は、今だったら社会主義者と言うべきところを"Communist"と言ったりしていました。そこで、誤解をさけるために「社会主義者」と訳してあります。(ラッセル自身も、The Practice and Theory of Bolshevism, 1920 の1949年版に付された注記にその旨を述べています。即ち、「The word "Communism" is usually replaced by the word "Socialism".」)

 
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